うちに帰ると在宅勤務の夫が軽い感じで
「どうだった？」
と聞いてきたので
「最低でも50万だって」と超ヘビー級の返事をしてやった。
「…最低って、最高だと？」
と至極当たり前の質問をしてくるので
「100万」
と言うと黙った。
それはそうだろう、だれがまさか嫁が口内にそんな爆弾を抱えていると予想できようか。

それから何を見ても何をしても100万と歯のことが脳裏をよぎる。

横断歩道を急いで渡るとき
テレビを見て笑うとき
幽遊白書の実写化の成功を願っても
料理をしていても
私は歯に100万かかる女。

そして再来院の日。
ライフスタイル的にインプラント一択なので、その旨伝えた。
より詳しい治療内容と流れを教えてもらう。
インプラントの場合虫歯になった赤い葉（歯）となんと健康な真ん中の歯も抜いてしまんですけど、しょうがないライフスタイルだから。

これから1年近くかけて
歯を抜く
傷がふさがるのを待つ
なんか埋める
みたいな感じのことをする。
今日からガリガリやられたら嫌だなぁ、とこの期に及んで尻込みしていたら
「年末年始は美味しいものを食べたいでしょうし、年明けから始めましょう！」
と素敵に提案された。

年明け、食べれなくなるほどの何かをされる…！

とはいえ、この時まだ11月の上旬。
年明けまで2ヶ月ほどあるけど、歯は伸びませんか？
先生は「大丈夫だと思うけど」と言いつつ恐れる私にマウスピースを与えてくれた。

今度来たときには書類にサインとかするらしい。

受付アベンジャーズにまた
「頑張りましょうね」
と応援されながら帰る。

帰り道、1円玉を拾った。
しばらく歩くともう1円拾った。
あと99万9998回1円玉を拾ったら100万円にな、る？
いやでも私が重ちーでハーヴェストを持っていてもそれだけ集めるのは難しそうだし小銭で100万支払うって何らかの業務を妨害したとかで怒られそう。
大人しく札とかカードで支払うことにしよう。
などと考えながら帰宅し、現実逃避にジョジョを読み耽っていたらあっという間に11月が終わってしまっていた。

来年の事を言えば鬼が笑う、とかそういうのんびりした時代はとうに終わっている。
私の来年の予定はインプラント。
100万円にショックを受けすぎていたけど、そういえば治療過程に
「傷がふさがるのを待つ」
というのがあった。口内炎でも七転八倒しているのにふさがるのを待つくらいの傷ができるのか…

ピカピカの歯じゃなくていい
ただ虫歯を治したいだけなのに…

立派な歯はそれだけで値千金なんだと身にしみている。

それでは皆さん、今日もしっかり歯を磨いていきましょう、その歯をなくすと高くつきますよ！