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アクティブに使う三角関数② あのひとの呼吸を数学モデルで表現せよ

いきなりだが、まずは皆さんに朗報だ。特にそこの三角関数が苦手な文系のあなた!あなたの好きなあの人の呼吸を数学モデルで表現できると言ったらどうだろう。

な…何?変態?

と思われただろうか。ちょっと待ってほしい。
あなたの好きなあのひとの呼吸が数学モデルで表わせるのだ。本当にあなたは何も感じないのだろうか。

…よろしい。数学のロマンが分かってもらえないようだ。では、そこに残っている私と同類のあなただけついてきたまえ。フォローミー!

暴走気味のテンションになってしまったが、今回も三角関数の話。前回の記事では太陽の動きをサイン関数で表現してみた。今回は予告どおりあなたの気になるあのひとの呼吸をモデル化してみよう。

このNHK for schoolの記事にもあるとおり、人は(静かにしているとき)約4秒のうちに500mlの空気を吸い、500mlの空気を吐き出している。空気を吐き出したとき肺の中に残っている空気の量は約2000mlだという。

数字は多少上下するだろうがあなたの気になるあの人もだいたいこんな感じだと思っていいだろう。さて、いきなりだがあなたの気になるあの人の肺の中に残っている空気の量を数学モデルで表わそう。どうすればよいだろうか。

まず、呼吸は吸って吐いてという動作の繰り返しであるから周期関数であるサイン関数かコサイン関数を用いるのが簡便だ。ここではコサイン関数を用いよう(サイン関数でもよいが、コサイン関数の方がスタート時点の調整が楽である)。

ちなみに、今回の調整で三角関数を用いた数学モデルの作り方の感覚がかなりつかめると思うので少しつきあっていただきたい。調整のポイントは4つだ。

1. 縦方向の伸縮率調整→(2500-2000)÷2=250
2. 2πの長さの調整→息を吸ってから吐くまでの4秒に合わせる
3. スタート時点の調整→コサイン関数は最大値からはじまるので2秒ずらす(t-2)
4. 上方向のシフト調整→呼吸を吐ききったときの最低値2000mlを足す

数式を見てみよう。後からそれぞれの項目を解説する。

あの人の呼吸の数学的モデル

1. 縦方向の伸縮率調整
息を吸いこんだとき、肺の中の空気の量は2500ml。また息を吐ききったときに残っている空気の量は2000ml。それぞれが最大値と最低値になる。この最大値と最低値の差を2で割ると伸縮率となる。(2500-2000)÷2=250なので伸縮率は250。これをコサイン関数の係数とすれば、-1から+1であったコサイン関数の値域が-250から+250に変わったことになる。

2. 2πの長さの調整
コサイン関数もサイン関数も周期は2πだが、息を吸ってから吐くまでは4秒なのでこれに合わせる必要がある。従ってこの2πを4で割る。数式中の2π*1/4の部分である。

3. スタート時点の調整
コサイン関数は最大値からはじまるのであった。最低値から始まるようにするためには周期の4秒の半分、つまり2秒ずらせばよい。一番最後の(t-2)の部分がこれである。

4. 上方向のシフト調整
1で伸縮率を250としたが、これだだけだとコサイン関数のとる値は-250から+250のままだ。そこで、関数の最低値を2000、最大値を2500とするために2250上方向にシフトさせよう。数式右辺の一番最初の項2250がそれである。

どうだろう。今回の調整でだいぶ三角関数のモデル作成方法がなじんできたのではないだろうか。

あとはあなたの好きなあのひとに好きなだけ思いをはせたらよい。
ちなみに、あなたの好きなあの人は1分間に60÷4=15回空気を吸って吐いていることになる。言い換えるとたった1分間に空気を7.5リットル吸い、7.5リットル吐いているということだ。1時間で45リットル、5時間で225リットル、10時間で450リットルになる。

こう考えると不思議ではないだろうか。

あなたの好きなあの人がもし長い時間同じ空間にいるのであれば、あなたはその人の吐いた空気を吸い、あの人はあなたの吐いた空気を吸っている…と思ってよいだろう。すなわち、物理的に大量の体内情報を交換しているのである

もはやロマンとかそういうレベルではなく、一緒の空間にいるということだけで特別な縁があるのだと感じざるを得ない。

それとも、そんなことを考えているのは私だけだろうか。

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