QRコードもコインも要らない!日本のキャッシュレス普及に本当に必要なのは”個人間送金ツール”

 以前、アメリカでのキャッシュレス事情をまとめ、いかに便利かを紹介しました。最近また日本のキャッシュレスに向けた取り組みに関する記事(経産省が「プレミアム”キャッシュレス”フライデー」を実施すると発表したとのこと)を目にしたので、今回は「なぜ日本ではキャッシュレスが進まないか」について考えてみたのでまとめたいと思います。

私の仮説(兼 目次)
1. 消費者が便利だと感じれば勝手に広まるはず
2. 消費者が最も利便性を実感するのは完全キャッシュレス
3. 現在、完全キャッシュレスを妨げているのは個人間送金
4. 現在の個人間送金ツールの欠点
という流れで進めていきます。

1. 消費者が便利だと感じれば勝手に広まるはず
 今回の取り組みには、やはり「消費者に便利さを実感してほしい」という思いがあると感じました。確かに私もそれが重要だと思います。キャッシュレスの進まない背景・原因はいくつかあり、実店舗側の支払い対応(機器導入など)にかかる費用がボトルネックだと言われることもありますが、もし消費者の大半が「現金を使わずに済むお店がいい」「キャッシュレスに対応してないなら行かない」という行動を取る社会なら、費用を負担してでもキャッシュレスに対応するはずです。またそこから先は循環で、大半のお店がキャッシュレス対応になり、徐々にキャッシュ対応のお店が減ると、残りの消費者もキャッシュレスに対応しようと考えるはずです。
 実店舗側も消費者側も、少数(キャッシュ派)が排除される嫌な社会だ、と考えるかもしれませんが、国が「キャッシュレスを推進しよう」としている限り、これが目的に適った方法かと思います。また、「キャッシュも残しながらキャッシュレスの方法を増やす」という中途半端さよりは、「完全にキャッシュレス」な社会が最も効率よくキャッシュレスの恩恵が受けられると思います。
 以上から、私は消費者さえキャッシュレスの便利さに気づけばいくらでも自然とキャッシュレス化は進む、と考えます。

2. 消費者が最も利便性を実感するのは”完全キャッシュレス”
 
では消費者が「キャッシュレス便利!!!」「現金使いたくない」となるのはどういう時かと考えると、中途半端ではない”完全キャッシュレス”の生活が実現した時だと思います。社会全体としても中途半端よりは完全にキャッシュレス化した方が恩恵が大きいと上述しましたが、それはつまり個人あたりで考えても、完全にキャッシュレスの方が利便性が大きいからです。どうしてもキャッシュを使う場面が残っていると、「どうせ必要だしキャッシュレスにこだわらなくてもいいか」「キャッシュ以外の支払い方法が増えても、結局キャッシュを持ち歩かなきゃいけないなら別に便利じゃない」という風に感じてしまいます。私も、日本にいた時からデビットカードをメインで使うようにしていましたが、近所のコンビニ・スーパーなど行き先が決まっている短時間の外出以外では、キャッシュを持たずに出かけることはありませんでした。そうすると、もちろん単体の支払い場面での便利さは感じられるものの、”キャッシュレス生活”の恩恵は受けられません。アメリカで暮らしていて、キャッシュを持ち歩かない生活をしてみて初めて、”完全キャッシュレス”がいかに便利かを実感しました。

3. 現在、完全キャッシュレスを妨げているのは個人間送金
 
では、何が日本の完全キャッシュレスを妨げているのかと考えると、1番大きい原因は個人間送金の不便さだと思います。個人間送金とは、友人・同僚などに直接支払う場面です。外食・飲み会・旅行などでの割り勘・立替シーンではキャッシュで支払うのがデフォルトな気がします。大金になると口座振込が使われることもありますが、銀行名・口座番号なんかを入力するなどかなり面倒です。これがキャッシュレス化すると、本当に便利です!(この便利さについては以前のキャッシュレス事情noteでまとめてありますのでご覧ください。)
 もちろん、大手チェーン店以外などお店での支払いでキャッシュレス対応ではない、という場合もあります。しかし、そのようなお店は選択可能です。ある程度キャッシュレスを進めている人なら、(”こだわりのパン屋さん”とか”お気に入りのカフェ”とか、ここじゃなきゃダメ、というお店であればキャッシュレス未対応でも行くかもしれませんが)ランチのために定食屋を探している時、時間潰しに作業できるカフェを探している時、キャッシュレス対応か否かはわりと大きな判断材料になると思います。だから、このお店での支払いという分野においては、上述した「消費者がキャッシュレスの魅力に気づけば自然とキャッシュレスは促進される」理論が当てはまるので、問題ないと考えます。
 だからこそ、「キャッシュレスじゃないなら飲み会行かない」(笑)「キャッシュ使いたくないから割り勘はパス」(笑)とかできない個人間送金こそが、”完全キャッシュレス”を妨げていると感じます。また、個人間送金システムが整っていれば、店舗でも役立ちます。小規模でキャッシュレス導入のコストを負担できないお店(先ほどのパン屋さんやカフェなどの例)では、クレジットカードや電子マネー対応の機械を導入できなくても、個人間送金アプリでお店のアカウントを作ってしまえば、個人to個人のように会計を済ませることができます。実際にアメリカでも個人間送金アプリVenmoを支払い手段として受け付けているお店を見たことがあります。

4. 現在の個人間送金ツールの欠点
 個人間送金が簡単にできるようになれば日本のキャッシュレスは促進するのでは?と思ったので日本の個人間送金の現状を(ネットで軽くですが)調べてみました。全く無いというわけではなさそうです!が、説明を読んでみてやはりアメリカと比べると不便だと感じました。私なりにアプリ系オンラインバンキング系の2系統に分類して分析します。
 アプリ系というのは、LINE PayやKyashのような専用アプリ・サービスで、アカウントに銀行口座やクレジットカードからチャージしてアプリ内で使える独自の通貨を支払いに用いるというものです。これはアメリカのVenmoと似ています。ただ、紐付けられる銀行口座やカードの種類が限られていること、現金化が容易ではない(不可能 or 手数料がかかる)ことなどが不便さとして挙げられていました。現金化が容易ではないことは、確かに利用の大きな障壁になります。え?脱現金言うてるやん!って思うかもしれませんが(笑)、ここでは実際に物体としての現金が必要というよりは、「そのアプリ内じゃなくても使える通貨に交換できる」必要があるということです。常にそのアプリで生活可能なほどに普及してればいいですが、そうでない場合は、「アプリ内に5万円分貯まってるけど使い道がない、でも手数料払って現金化するのも嫌だ」みたいな状況になったら逆に面倒ですよね。アメリカのVenmoは何が便利かというと、銀行口座と紐づけている場合は、いつでも何度でも、無料で口座に送金可能ということです。
 次にオンラインバンキング系です。オンラインバンキング系の個人間送金は各銀行が行なっているサービスの中で、ネットで個人宛ての振込ができるものです。各銀行、個人間送金に限らずオンラインバンキングを推進しています。ただ、個人間送金に関してはまだ「今までATM(もしくは支店)で行なっていた振込をネットでできる」システム、という気がします。それだけでも24時間どこからでもできるので便利ですが、こまめに使う感覚ではありません。そして1番の障壁は、他行宛ての振込は手数料がかかるということです。オンラインバンキングを普及させるため、ATMと比較して低い手数料が設定されているようですが、しかし、どんなに低かろうと手数料がかかるんです(大事なことなので2度言いました)。ここがアメリカとの大きな違いです。アメリカは大きな銀行(Bank of America, JPMorgan Chase, Wells Fargo, Citibank etc.)が共通でZelleという支払いシステム(なんと呼ぶのかわかりませんが)を利用していて、それらの銀行口座(ほとんど全部です)なら、他行宛てでも関係なく無料で送金できます!この便利さは以前のnoteでも紹介していますが、支払いの理由が入力できたり支払いのリクエストができたりと、本当に便利です。
 各銀行によるオンラインバンキングの推進状況は、独自のコイン・通貨の発行や提携先の拡大に努めているように見えますが、結局他行との送金問題を解決するのが1番早いのでは?と思ってしまいます。これはおそらく法律等も絡んでくるので各銀行単体での判断ではどうにもできないのかもしれません。だからこそ!政府や経産省など、国がせっかく関わっているならそのあたりの規制緩和・法改正という方向に進んでほしいです。

まとめ
 日本のキャッシュレスを促進するには何が必要か?ということを考えた結果「個人間送金システムの促進」という仮説が浮かび上がったので書いてみました。消費者がキャッシュレスの便利さを実感できればいい→便利さを実感できるのは個人間送金まで整った時→日本にも個人間送金ツールはあるがまだ不便、という流れで進めました。
 色々なサービス・アプリが出てきて良い流れだと思いますが、独自コインやQRコードなど、特殊な方法が模索されている方向性に疑問を抱きます。アメリカで、店舗での支払いは基本クレジットカード、お店の支払いアプリがある場合はアプリ(スタバのような)、という感じで、特別なことはありません。独自のサービスが増えてそれらに互換性が無いと、むしろ利用に躊躇する人が増えて普及するどころではない気がします。
 以上、訪日外国人の増加が見込まれる今だからこそ、日本のキャッシュレスが促進してほしいとの思いで書きました。

参照(ググって参考にさせていただきました)
特選街web 個人間送金できるアプリ5社を徹底比較! チャージ方法や手数料は?(LINE,Yahoo,paymo,Kyash,楽天銀行)【何でも比べ隊】 
Appliv 個人間送金アプリランキングTOP9

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