【#シロクマ文芸部】こびとの忘れもの
新しい年に向けて準備したはずなのにと、こびとが肩を落とす。こびとと暮らすようになって何ヶ月か経つが共に出かけていないことに気づき散歩に誘ってみたのだ。
最初はマフラーの中でウキウキとしていたのに急に元気がなくなる。
「どうしたの?」
「あれ」
小さな指で示す方向には真っ赤な紅葉があった。
「?」
「新しい年の準備し忘れちゃった」
「落ち葉ってこびとが落としていたの?」
「うん。春のために」
仕事に行っている間、ひとり家の中でなにをしているのだろうと思っていたが、季節