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フェアリーギフト

フェアリー濃厚接触者になった日の朝のこと
台所で母ともめた。

元々母との確執があるということは以前書いたことがある、
私は母が怖い。
なぜか母にダメと言われるとそれはできない。
それが普通だと思ってきたことが
不思議なんだけど
小さい頃からの色々でそうなったんだと思う。

色々わかっているものの、
相変わらず、母が怖いのは一緒。
なので、怒られそうなことは言わない。
だから私たちは平和に暮らしてきた。

こんなわけもありチラチラ匂わせていたが、
渡英のことをずっと言い出せないままでいた。
びっくりしちゃうよね。
言えないなんて、ね。
でもそれくらいおっかないのです。

とはいえ、もういい加減言わなくちゃ、
と毎日胃がキリキリするような日々を
過ごしていた。
そう、その日は契約社員として私が働く最後の日だった。

この話を皮切りに。

ということで説明を始めたら、
烈火の如く怒り出した母。
案の定、ひどい言葉がぽんぽん出てくる。

これは出発まで口もきいてもらえないかも。
しかも、りす子より先に出発なんて聞いたら
大変なことになるかも。

と覚悟を決めつつ、それでもがっかりするのを
隠しきれなかった。
やっぱりダメだったか。

夕方も予定があったため、家で食事をする予定ではなかった。
が、濃厚接触者となり、私はその予定をキャンセルして帰宅。
これからの経緯予想を説明し、
部屋に自分を隔離することにした。

それから結果的に発症し、
当然母のお世話になる日々。
とりあえず休戦かな?という感じ。
母は普通に振る舞っている。
しかし、その10日以上の日々で、
私の出発はますます
近づいてしまっていた。

療養最終日、思い切って手紙を書いた。

療養期間中のお礼を伝えたかったのだけど、
加えて、出発のこと。
飛行機のチケットがものすごく
値上がりして変更ができないため
予定通り出発すること。

さらにトラオさんの話を書こうか
どうしようか迷って
りす子に相談したら

どうせ怒っちゃうなら
書いちゃいなよ。

という冷静な意見をもらい、

追加で、トラオ情報の詳細を入れる。
私たちはいずれ日本で生活することも考えていることも。

結果、どうなったかというと。

母はあっさりしている。
口もきいてくれる。
不思議だった。

そして思った
これはもしかしたら

フェアリーギフト

なのかもしれない。

冷却期間があり
自分の感情だけで酷いことを
言ってしまった母が
冷静になる時間があったのだろう。

母親との確執がある方になら、
この話はきっと理解できると思うのだけど
そうではない人にとっては
不思議な話だと思う。
色々と私も自分の心のケアを続けてきたが
母親との長い年月は
簡単にひっくり返せるものでもない。
それが反面教師となって
りす子に自分の描くものを
押し付けないようにと祈り続けている。

母のことについてはまたいつか書ける日が
くるかもしれない。

渡英してから
もし口をきいてもらえなくても
読んでもらえなくても、
メッセージを送り続けるつもりだった。

こんなところに行ったよ
楽しくやってるよ
幸せだよ

いつか伝わると思っていたし
半年後にはまた帰国するんだから。

フェアリーの症状は思ったより強く
まるで台風のようだった。
あっという間に10日間がたち
体力は今ひとつ元通りとはいかない。
体調もスッキリというわけでもない。

それでも、私はきっと時間をもらったんだと思う。

そして、

ねえママ、イギリス行くのワクワクしてる?

と今朝りす子に聞かれた。
あれそうでもないかもと思った。
そう、りす子を残していくのがちょっと
気になっているから。

あれ?してないの?

というりす子に

いや楽しみだよ。
でもちょっと寂しいかな。

というと、???とされた。

あなたより先に出発するのがね

と言ったら、笑われた。

全然大丈夫だよ。何言ってるの。

と。
そう、私も大人になった娘を信じてればいい。
多少のトラブルがあったとしても
もう彼女は自分で乗り切っていけるのだから。

信じて手放す

その大切さを誰よりも知っているのは
私だもの。

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