責任のパラドックス
・はじめに
責任というものがある。何かはよく分からない。だが誰かに帰属させられるものであるらしい。その誰かを責任主体という。ある結果を原因として引き起こし、そのために道徳的な価値を帰属させられることが可能な、個人ないし集団である。
そこにおいて人間は、自由意志、つまり世界の発生に始まる因果連鎖の玉突き事故から外れた、絶対的な因果の始点として扱われている。そのような自由意志の概念が社会規範に拡張されることで、因果連鎖の遡行が停止して道徳的な価値が発生するような、凡庸な「第一原因