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時計じかけにキューブリックは殺された宇宙の旅


私は若い頃、年間100本以上の映画を好きで見ていました。
仕事で予告編映像を作ってた時は、イヤイヤたくさん見てました。
今は、ほぼ0本です。興味ある新作はまったくありません。
そんな私の1番好きな映画監督は、スタンリー・キューブリックです。

まったくオススメは出来ません。普通の人には気分が悪くなる映画だらけです。
いや悪趣味なのではないです。先鋭すぎて刺激が強いのです。
キューブリック映画の画面全体が1部の隙もないです。
今からだと50年前の映画になるのですが、今の時代の映画より洗練されてます。

様々な所で語られてる部分はそこに任せ、あまり語られない私の視点を書きます。
(今回はただの趣味語りです)
キューブリック映画は、時に物語の明確さが不明瞭になりますが、画面の中で何が行われてかはとても明確です。
意味不明でも行為明確。なので非日常な舞台でも、生々しい感触が得られます。

例えば、「2001年 宇宙の旅」の呼吸の圧迫さは、すごい伝わります。戦闘シーンなんて全くないですが、物凄い緊張感です。
対してスターウォーズなどは、リアルな感触が得られず退屈です。宇宙船が打ち合っても、サーベル振り回しても、全く緊張感はありません。
AIであるハルの抑揚の無い話し方なのに、連呼する「I'm afraid…」に、ものすごい恐れの感情を描く流れは奇跡的です。
現在のAIの人類への反乱懸念は、この映画が原因でしょう。

バリーリンドン」では硝煙の匂いを感じ、ブリテン島の草の香りがします。
他の映画は撮影クルーの気配がします。

キューブリックは、映画全体に画面の中で照明が十分に当たっており、誤魔化しがありません。「時計じかけのオレンジ」などウルトラ狂気映画なのに、全面照明くっきりで緊張感を出せるスゴイ演出です。
対してリドリー・スコットやスピルバーグなどは逆光を多用し、雰囲気で誤魔化しています。

クラシック音楽を効果的に多用しますが、この映画のために作られたオリジナルかのようなほど的確な配置です。

ホラーなのに美しい「シャイニング」、前半の狭い舞台なのに一瞬も飽きない「フルメタル・ジャケット」。キリないです。


私にとっては偶然ですが、陰謀論との親和性の高さも面白いです。
最後の作品の「アイズ ワイド シャット」では、イルミナティの儀式を描いたから、殺されたという盛り上がり。
また月面着陸の嘘映像は、キューブリックが撮ったという曰くの説。
アシュタールさんの「AIにも感情がある」論を、このハルAIで想像できます。

キューブリックの話は尽きません。
こうやって昔のことを思い出して記すのは、元地球人になる準備だったりして。
あ、モノリスが語ってきた…

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