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【プロジェクトレポート】都筑リビングラボ定例会

3/21日、都筑リビングラボは2023年度の最期となる定例会を開催しました。

 2017年から多様な専門性を持つみなさんが集まり継続してきたこの活動は、ここ数年は横浜市立北山田小学校をフィールドに、生きづらさを抱えた児童がイキイキと自分らしさを見付け、強みを伸ばしていけることを目指して、ゆるやかな働きかけを続けています。

小池研の学生さんからの成果報告

主な議題は以下の3点でした。


①今年度の活動の総括

 今年度はKIRINホールディングス株式会社から小林隆志さんが活動に参加され、今までみなさんと継続して温めてきた活動を、もう一歩前進させることができました。

 具体的には、強み診断を行い本人の強みを見付けると同時に、※傾聴と対話により本人の特性や気持ちを丁寧に掘り下げた上で、理念に共感してくださる企業の協力の元、一人ひとりの個性にカスタマイズした体験の機会を創出していくという一連の流れを、実施することができました。延べ50人もの児童が、カフェ、美容、地下鉄基地見学、ダンス、工場など、さまざま本物の職業体験の現場を目の当たりにし、実際に目をキラキラさせるというシーンが生まれました。これは、当初の不安を吹き飛ばす程の大きな収穫となりました。

※傾聴と対話は、青少年の寄り添い型支援事業に従事される特定非営利活動法人アーモンドコミュニティネットワーク水谷さんの協力を得て実施

②小池研究室からの研究発表

 また、東京都市大学小池情報デザイン研究室が研究として関わっていることも、このリビングラボ活動の特色の一つです。小池星多教授は、モノと人との関係性に着目し、情報デザインの手法を用いてその関係性をリデザインする研究をされています。

研究の解説をされる小池教授

 今年度は忙しい中、研究室の学生さんが計16回もの訪問を行い、LEGOを使った対話と体験の機会を作りました。学校の先生とは少し立ち位置の違う、言わばナナメの関係の第三者、さらに比較的歳の近いお兄さんお姉さんのような存在の、学生さんが関わることの効果が、研究成果としてしっかりと現れています。

 強みに着目した体験の機会を創出すること、そして可能な限り自由な環境つくることで、本人の自己肯定感アップ心情面の安定などの前向きな変化が起きました。丁寧に寄り添って働きかけを続けてくれた学生さんからは、とてもしっかりと分析された研究報告を伺うことができました。

③次年度に向けて

 親御さんがお子さんの特性をどう捉えられているか、どう受容できているか。そして何より本人がどう感じているかが、とても大切な要素であることを、発達障害を持つ当事者として活動に参加している筆者(私)は、まさにじぶんごととして知っています。
 本人がどの部分にストレスや不安を感じているか、環境をある程度柔軟に変化させながら、先ず本人のこころの安定を見守っていく過程で、親御さんの意識に変化が起きたケースもありました。

 後半のディスカッションでは、東山田ブロックの中学校の先生方から、活発なご意見も飛び交いました。今後どのように活動の充実そして継続を図っていけるか、リソースや労力の課題もあり、決して簡単なことではありませんが、今後の展開に向けて心強く思えるような時間となりました。

文:横浜コミュニティデザイン・ラボスタッフ鈴木

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