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Libya Updates #43: February 2021 Week 1


こんにちは🕊
1週間のリビアを巡る動きをまとめました。

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リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。10月以降は停戦へ向けた協議が進んでいるが、現地での戦闘は続いている状態だ。

■ 2020年のリビアまとめ

■ 先週のアップデート


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1. 和平交渉

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国連主導の和平交渉では先月28日、暫定首相と3人の行政官の選出に向けた5日間の会合が始まった。
国連リビア特別支援ミッション (UNSMIL) は前日の21日から1週間、行政当局の候補者選出へ向けた作業に取り組んでおり、HoRのアグイラ・サレハ大統領や同政府の軍司令官のウサマ・ジウェイリ氏などが立候補している。

ステダニー・ウィリアムズUNSMIL暫定特使は「たくさんの立候補に励まされた。リビアを形づくる全ての政治や社会の要素を持つ候補者らが多様性を象徴していることを歓迎する」と希望を表した。


スイスで行われた会合では、2日に行政官3人の選出のための投票が行われた。結果はまだ明らかとなっていない。
選出された3人は今後、首相を含む候補者の決定に取り組む予定とのこと。

国連は一連の動きについて評価する姿勢を示している。ただ、これまでにも和平交渉に失敗している経験から、リビア国内からは実効性を疑う声も上がっている。選挙で負けた勢力が武力で結果を拒否するのではないかと指摘する人もいるという。


2. 国内では混乱も

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懸念を生み出している一つの要因が、国内の状況だ。
リビアでは現在も多くの人が戦闘の影響を受けている。バスやトラックなどの運転手もその一員だ。

同国では東西に分裂する勢力の対立により、両地域を結ぶ陸路・空路ともに封鎖状態が続いてきた。昨年10月の停戦合意により封鎖が解かれることが決定したが、現在も移動は困難を極めるという。

ロイター通信が首都トリポリで行なった取材に応じたベンガジ出身の運送業者に務める男性は、1日半かけて東西を横断する間に何度も危機を感じたという。
「道は厳しく、 (武装勢力による) 収奪にあうこともある」

ベンガジからトリポリへ向かうには現在、携帯電話の電波の入らない砂漠の道を通る必要がある。運転手らは数日間、連絡が取れなくなることも珍しくないと話す。

ただ男性は、生計を立てるために他に選択肢はないと語っている。


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一方、国内にいる外国勢力の撤退も鍵となってくる。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は28日、リビアにいる外国人戦闘員や傭兵に言及し、「リビア人らを一人にして」と呼びかけた。

GNAとハフタル勢力側は昨年10月、「永続的」な停戦に合意するとともに、3ヶ月以内に外国の傭兵を含む全ての軍事勢力の撤退を行うことを決定している。だが、これは実現していない。

CNNは先月22日、ロシアの民間軍事会社 (PMC) 、ワグナー・グループがリビアで少なくとも70キロにわたる塹壕を掘っていることを報じている。


3. 新型コロナウイルス

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リビアでは4日 (現地時間) 時点で、累計121,243人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は5,179人。日に平均約740人の新規感染者が確認されている計算。累計死者数は1,914人で、1週間で112人の増加。


同国の感染者数は5月頃まで数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月。10月末をピークに新規感染者数は減少傾向にあるものの、依然として高止まりの状態が続いている。

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人口は約689万人。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度がきちんと整備されていない状態。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。

4月から5月には医療従事者や医療施設への攻撃も多発。6月以降は市民が地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いだ。


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リビアの難民・移民について、一緒に考えてみませんか。
直近の戦争が20年近く続くアフガニスタン。
「わたしたちが続けなければ、『彼ら』が力を持つ。ただ殺されるくらいなら、活動を続けるほかない」。現地で平和教育を続けるアジマールさんのお話です。

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