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「現場思考で解く」とは❓

 私なり定義すると、  
 「現場思考で解く」とは、知識だけでは直接解けない問題について、皆さんが持っている他の知識・経験・常識を使って考えて解答を導くこと。
 受験年度や個人差により誤差が生じるのはご容赦いただき、以下の記事を読んでいただきたい。
 仮に知識がコンパクトにまとめられている行政書士受験用の教材のみを使用し知識が十分記憶でき、その知識だけで直接得点できる問題が300点満点の半分位(150点前後)だと仮定すると、少なくともあと30点+αは現場思考で上乗せしないと合格できない。つまり、合格には現場思考が必要不可欠である。点数を稼ぐには、問いに正面から答える姿勢からそれないようにしつつ、まずは覚えた知識で解けないかを確認し、ダメそうなら現場思考で解くという順番になる。
 では、「現場思考で解く」とはどういうことなのか❔
 行政書士試験での現場思考は、テーマごとに学習済みの原理原則・定義・制度趣旨に加え、一般市民の常識感覚に照らして、択一式の各肢が整合的なら〇方向、整合しない方向なら✕方向と判断していくことになる。もちろん現場思考で解けない問題の方が多いので、現場思考で解ける問題を見つけ出し、貪欲に点数を上乗せしていくイメージになる。目安として未知の問題が出たら1分程度は頑張ってみて、問題文にヒントがないか、また原理原則・定義・制度趣旨・一般市民の常識感覚から解けそうな問題か、見極めよう。ダメそうなら、適当な番号をマークするという割り切りは必要である。

 ここで、具体的な問題を通して、現場思考の使い方を説明する。

🔴原理原則・定義 2011年問5肢3のエッセンスをいかし改題
         ☚正解の肢 正解率37%
憲法
問題文柱書 写真集を発売したら、刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)で起訴された。無罪を主張するには憲法上どんな考え方を主張すればよいか。最も適しない考え方を選べ。
👉問題文柱書の現場思考 本件は発表後に発表を制限している

 最も適しない考え方として試験センターが解答にしたのは肢3
 肢3 憲法21条が検閲を禁止し表現活動の事前抑制は原則許されない。
 👉肢3の現場思考 検閲の定義=判例は、発表前に発表を禁止したらダメ 
 👉定義から判断して、肢3は、問題文柱書の場面ではないので、
  無罪につながらない無意味な主張。つまり最も適しない考え方。


🔴制度趣旨 2010年問53肢3のエッセンスをいかし改題
       ☚正解の肢 正解率18%
 一般知識
 問題文柱書 わが国の難民認定制度について 妥当なものはどれか。
     👉現場思考➀難民認定の制度趣旨
       =人種・宗教・政治的理由等で迫害を受ける外国人の保護       

 妥当なものとして試験センターが解答にしたのは肢3
 肢3 日本に入国後、政治活動等後発的事由を理由として難民認定申請を
    しても認められる。
     👉現場思考➁政治的迫害を受ける外国人の保護の必要性あり
     👉制度趣旨と整合的なので肢3は〇



🔴最後に、
 試験当時多くの受験生が知らなかったであろう次の問題にチャレンジ!
  
本試験では知識で解ければ知識で解く。過去問学習が進んでいる人は以下
  の判例を知っていると思うが、ここでは現場思考の練習をしたいので、
 知識がない前提で現場思考で解いてみよう!
 
 行政手続法 2012年問13肢2のエッセンスをいかし改題
 問題文柱書 判例に照らし〇か×か❓  現場思考で解いてみよう!
  肢2 公害健康被害補償法に基づく水俣病患者認定申請を受けた処分庁
   は、申請者が手続きの遅延による不安感によって内心の静穏な感情を
    害されないように手続きの遅延を回避すべき条理上の作為義務を負わ
   ない。 〇か×か❓ THIKING TIME
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  肢2 公害健康被害補償法に基づく水俣病患者認定申請を受けた処分庁
   は、申請者が手続きの遅延による不安感によって内心の静穏な感情を
    害されないように手続きの遅延を回避すべき条理上の作為義務を負わ
   ない。👈現場思考 裁判所の思考をイメージする
    👇
   裁判所は、法の趣旨 + 一般市民の常識感覚
   法の趣旨(被害者の救済)+常識感覚(遅延で不安になるのは尤も)
   👇  現場思考とは言え、根拠が2つ出てくる!
  とすれば、処分庁は手続きが遅延しないようにすべき方向👉誤りの肢
   ☚肢2が誤り(誤りを選べの正解肢) 正解率51%

    


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