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海の上のピアニスト

社会人には時間的になかなか厳しい午前十時の映画祭、それでも名作揃いのラインナップは大変魅力的である。中でも「海の上のピアニスト」は絶対に観ると決めていたので、これを劇場で観られたのは嬉しい。

原作の書籍を読んだのはもう4年ほど前になる。図書館でふと目について借りて、どんどんその世界に引き込まれた。

船で生まれ、船で育ち、一生涯船から降りることがなかったピアニストの物語。もう発想が素晴らしい。彼は確実に船の上に存在する。しかしながら、ひとたび船を降りた世界に彼は存在しない。戸籍がない。そのことへの悲哀が物語中に垣間見える。

この物語の、特にラストが私は大好きだ。これは幻か、はたまた夢かと思うような儚さがある。本でも映画でも、泣かずにはいられなかった。

4Kデジタルリマスターは昨今増えているが、こうして昔の名作を劇場で観られるのはありがたい。今この時代につくられている作品も、いつかは名作として語り継がれるだろうか。

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