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ポスト5G|うちのおばあちゃんが使えるシステムへ

2020、オリンピックイヤー。通信サービスの新世代、5Gが本格化する年でもある。5Gはその高速、低遅延、多接続という特長から、自動運転やスマートホームなどへの活用が期待されている。何でもかんでもネットワークに繋がるので、自動化や無人化が促進されていくことになるだろう。

5Gに期待が集まる中、僕は一人暮らしをしている祖母との会話が気になった。祖母はもしものときのためにと携帯電話を契約しているが、ガラケー(3G)サービス終了に伴って解約しようと思っていると言う。携帯電話の代わりになる、もしもの時のアイテムを提案して欲しいと続けた。僕は5Gになるし、スマホを契約して持っておきなよ、とはとても言えなかった。

つまり5Gは、社会的課題の1つであるデジタルデバイドの解消には貢献しない、むしろデジタルデバイドを加速させる、と何気ない会話から実感してしまった。

通信システムの仕様の規格(第X世代移動通信システム)を一般用語としてゴリ押しして、違いがどうの、進化がどうの、と説明するのは不案内だろう。利用者からすれば何Gであろうと、電気ガス水道に次ぐ社会インフラの利便性を最大限享受できれば良いだけの話である。

加えて、5Gの多接続という特性から接続端末が激増することによる、電力供給、ひいては二酸化炭素排出量の増加も新たな問題と言える。5Gは当然省エネも考えられた設計ではあるが、激増する端末が消費する電力は未知数だ。その他にも、端末が増加するにつれて、端末の乗っ取りなどの情報セキュリティの問題も益々深刻になると思われる。もはやうちのおばあちゃんのような老人には手に負えない問題だ。

改めてIT、ICTに関わる者としての自省でもあるが、情報通信も電気ガス水道と同じように老若男女が使いこなせて初めて真価を発揮する。僕たちがICTを通じてどんな社会課題を解決したいのか。利用者は誰なのか。

UX的な話になるかもしれないが、究極的にはデバイス/端末を意識しないで、遠隔にいる人やシステムと繋がれる世界観なのだろうと思う。それこそ映画に出てくるような、手をかざすと空間にスクリーンが出てきて必要な情報が提供されるアレ。しかも老若男女が使えるようにするには難しい設定なく、レディメイドかつプラグインである必要がある。情報セキュリティも気にしなくて良い状態でないといけない。

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別にスクリーンじゃなくても、ブレスレット型でも、イヤホン型、指輪でも何でも良い。超省エネで、数ヶ月充電無しで動くような仕様。それは5G上かもしれないし、全く別の新しいネットワークに繋がっているかもしれない。こういう夢に賭けてみるのはきっと面白い。おそらく10年から20年以内にはきっと実現されると思っている。

それでようやくうちのおばあちゃんに使ってもらえるだろうな。そのころは100才を超えているかもしれないけれど、ぜひ一緒に実現を見届けたい。100才のおばあちゃんが元気に暮らす支援の役目を果たすのだ。健康・安全管理は当たり前にせよ、孫と話したい時にまるで目の前にいるかのように会話できる。家にいながら遠隔で一緒にスポーツ観戦をする。些細なことだけど、人は繋がりを意識することで元気を得ることも多い。その世界ではできれば日本のメーカーが大活躍していれば、さらに良いなと思う。

デジタルデバイドの解消、超省エネ、レディメイドでかつ堅牢なシステム。使い古されたキーワードではあるが、未だ実現できていない。ポスト5Gで必ず解決したい。


最後に余談
5Gが仕様性能通りのパフォーマンスを発揮するまでには時間を要する。過去にも記事に書いたが、ネットワークは道路と全く同じで、私道〜一般道〜高速道路を通ってやっと目的地に着くので、その道路のどこかで渋滞が起きればパフォーマンスは発揮されない。
道路整備(End-to-Endでのインフラ整備)が終わるまでは、利用者の失望を買うことになると思っている。以下の記事のような状況は容易に想像できる。ただ日本は世界最初にこだわらずインフラをある程度しっかり整備してからのサービスローンチのため、もう少しマシな状況は期待したい。


いつも読んでいただいて大変ありがとうございます。