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是非ご覧ください

映画「フリーソロ」(Free Solo)は2018年秋に公開され第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を含む多数の賞を獲得したドキュメンタリームービー。この「フリーソロ」が今夜21時からBSプレミアムで放送となります。

このドキュメンタリーが扱っているテーマは「クライミング」。そう岩登りです。

近年はオリンピック種目としても注目されるボルダリング種目をはじめとするスポーツクライミングですが、そもそもの文化形成はもちろん外の岩と向かい合うロッククライミングが根底にあるアウトドアスポーツです。いまでこそボルダリングジムなど商業ジムの普及でレジャーとして、スポーツとして一定の市民権を得たようにも思えますが、少し前はクライミングのイメージは一般的に「危険」「奇行」的なものと世間からは捉えられることが多く、いまでもインドアのスポーツクライミング=アウトドアクライミングとリンクさせるひとは以前より多くない気がしますし、アウトドアでのクライミングは特に国内ではやはり様々な問題を抱えています。以前はアウトドアクライミングの前のスキルの習熟やフィジカルレベルを上げるためのインドアクライミングという位置づけでした。それが現代ではその高いレジャー&エンターテイメント性や商業ジムが多くできたことで、スポーツとして単独で成り立ち「スポーツクライミング」として発展し続けていますし、そうした環境整備によりオリンピックやWCで常に日本勢が上位争いできる人材発掘&育成までつながっています。

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今回のムービーの舞台となるのはアウトドアクライミングの聖地ヨセミテ国立公園。そこにそびえるエル・キャピタンと名づけられた世界一の大きさを誇る花崗岩の一枚岩(モノリス)- 渓谷の谷床からは約3300フィート(約1000メートル)- をフリーソロというクライミングのスタイルでアレックス・オノルドというクライマーが登る挑戦を記録したものです。このフリーソロというスタイルがどういう物なのかは実際に今夜ご覧いただくかリンクを張り付けた予告編を是非ご覧ください。

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一見すると狂気の沙汰ですが、僕は表面に浮いた行為だけをとらえてそんなふうには思いません。何故なら非常に綿密な戦略とリハーサルによってこの挑戦は完成しています。そう考えてみるとこの一連のプロセスは非常に知的で豊かなイメージと絶え間ないトレーニングによる、クライマーというアーティストの描くひとつの作品でもあるような気がします。まさに命をかけた。それがクライミングであれ自転車であれ、山登りであれどうしてひとは情熱をそれほど傾けることができるか?そんな問いに触れるドキュメントのひとつであることは間違いありません。そのギリギリなラインで命そのものを捧げ、投げ出す必要があるのかどうなのかという点においては、いくら情熱があるとは言え、彼は少し思考そのもののが少し一般的なそれとは違うのかもしれません。

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だた全てのアウトドアクライミングがこうした理解しづらいことであるかと聞かれたらそんなことはありません。きちんとした技術の習得、必要に応じたある程度の体力的なトレーニング、利用の許認可を含む、挑戦するルートの適切な選択、信頼できるパートナー、そしてしっかりとした安全管理をおこなえば、いわゆる「危険」のリスクはぐっと下がり、老若男女それぞれのレベルや挑戦のステージにおいて非日常の楽しみ、レジャーとしてスポーツとして楽しむことが可能です。そいう意味ではMTBのトレイルライドもアウトドアクライミングもスポーツの種類は違えど、同じようなことが言えるかもしれません。

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クライミングに関わる人はもちろん、トレイルランニングを楽しむ人にも、スポーツバイクを楽しむひとにも、むしろやらないひと、そのスポーツに身を置かないひとにこそ見てほしいと思います。その中で少しでも極限の中で挑戦すること、挑戦する人の情熱、挑戦する人の気持ちに触れてもらえたら、それは新しい価値観との出会いのような気がします。それぞれのステージでそれぞれの問題に、それぞれの目標に向かって挑戦する人はとても美しくて、とても人間らしいと思います。

多くの皆さんが「山ちゃん言うなら」「山田さん言うなら」とチャンネルを合わせてくれたら嬉しいです。他に見るものなくお時間の許す方は是非。

今夜21時BSプレミアムです。最近のテレビはあれな感じが多くげんなりしますが、それでもたまには良作品を選べば素敵なエンターテイメントです。

ちなみに以前僕自身クライミングジムで働きながらクライミングコミュニティーに属していましたので、とりあえずweb等で拾ってきた情報の寄せ集めでこうした記事を書いたり、紹介しているわけではありません。出展はそんな感じですので、あしからず。




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