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進化型組織日本事例サミットに参加したら面白かった!〜その1〜

はじめに

先日、NPO法人 場とつながりラボ homes'vi主催の進化型組織、日本事例サミットに参加しました。

この記事では、その時に印象に残った内容や、個人的な注釈をつけた感想を書いていきます。

なぜ「ティール組織」事例ではなく「進化型組織」事例なのか?

冒頭に賢州さんから開催背景について共有がありました。

2018年に書籍『ティール組織(原著「Reinventing Organizations」)』が出版されて以来、賢州さんのもとには「ティール組織の日本事例は?」という質問が非常に多く寄せられたそうです。その問いにはすごく悩んでしまうそうですが、その理由は事例として1つ紹介するだけだとそれがティール組織だと思ってしまうということ。10社あれば10社違う。また、事例のインパクトが大きいのでそれがティール組織だと思ってしまうこと。また、ティール組織は目指すものでも、正解でもないということ。そもそも、原著者のフレデリック・ラルー氏が調査した時は、ティール組織という概念は世界に存在していなかった。

ここからは私の解釈的な補足なのですが、ティール組織事例サミットではなく「進化型組織」事例サミットと表現されたのは、ティール組織という概念ではなく、書籍出版も含めた世界中で起こっている背景・流れの本質に触れて欲しいからではないかと感じました。

この本質とは何か?というのは、今日(3/3)から始まるティール組織にまつわる世界的カンファレンスの「Teal Around The World 2022」に日本人として2年連続で登壇が決定し、継続的に海外のティールコミュニティとコミュニケーションをとられているNOLの吉原史郎さんが、同じく日本人で初登壇される令三社 代表の山田 裕嗣さんと開催したプレイベントの中で話していたことがそれに当たるのではないかと思ったので、イベントの中で史郎さんが話している箇所を文字起こししたものを引用します。( )内は私の解釈に基づく補足です。

海外では(ある企業が)ティール組織かどうかっていう点に焦点がないです。海外の場合だと、(書籍のタイトルは)「Reinventing Organizations(組織の再発明)」というタイトルですから、プロセスの再発明なんです。物語がどう変わっていくかにすごい焦点がある。例えば、ものすごく平坦に言いますがレッドからアンバー、アンバーからオレンジへの変容もとてもwellcomeされる。(海外では)ティール組織というよりROって言いますが組織が再発明されていくプロセス・物語にエンパワーされてほしいというのがあります。去年登壇した中で、本が出たんですが、そのタイトルも「Adventures in Reinventing Work:Tales of Pioneers from Around the World(仕事の再発明を巡る冒険:世界の開拓者たちの物語)」(史郎さんの物語も紹介されている)なんですね。再発明のワークのアドベンチャーということ。大体うまくいかない時もある。そこから越えてきて、今なお色んなことが起き続けるので、そういう視点がヨーロッパ含めて、海外のコミュニティは多いかなという実感はあります。そこに焦点が当たるなというのがいつも思います。で、「shiroのストーリーはどう変わったんだい?どういう人生なんだい?」というのは2016年のギリシャの時から名もないアジアの人間にも聴いてくるようなそういうコミュニティでしたね。

ティール組織が正解かどうかとか、そこに向かうために、ということではなく、進化型の取り組みをしている人同士がやりとりしたり、その様子を見ることによって自社をよりよくするためのヒントを得たり、そういったお互いのプロセスを促進し合うことに寄与したい。そんな背景・想いがあり、今回の進化型事例サミットを開催されたとまことに勝手ながら私は受け取りました。

今回事例発表されたのは、Gaiax、ネットプロテクションズ、RELATIONSの3社です。順番に印象に残ったことなどを紹介していきます。

Gaiaxチーフカルチャーオフィサー木村智浩さんのお話

1999年創業のGaiaxに2004年に新卒入社された木村さんが話されました。木村さんのプロフィール(HPより)はこちら。

2004年4月にガイアックスに新卒入社。営業、新卒採用、経営企画などを経て、企業向SNS事業の立ち上げから国内シェアNo.1獲得に従事。その後、コンタクトセンター運用改善、ネット選挙事業を経て、現在はチーフカルチャーオフィサーに就任。モンテッソーリ、ススキメソード、サマーヒルスクールが好きな四児の父。

1.印象に残った木村さんの発言

社員がやりたいことと、会社がやりたいことは重なりますか?一致するなんてありえない。まぁまぁ被るくらい。妄想を持つのはやめましょう。ガイアックスは?という人はいない。一人一人がどうしたいか。そこがガイアックスの旗に近い。そこの重なりで仕事が生まれてくる。
一人一人の情熱・才能にベットしよう!一番やりたいやり方に会社はかけます。邪魔な仕組みはなるべく潰します。
自分の評価テーブルは自分でつくる。どういう人生を送りたいのか、何を大切にしたいのかをクオーターごとに話す。将来こういうことしたいから、今仕事ではこういうことをします。こういうアウトプットが出たら、この金額。ベスト、ノーマル、ワーストでやってる。
あんな無茶やってもいいんだ。周りにそういう人たちがいると影響し合う。で、自由になっていって、変容していく。長いスパンでみてるなと思う。
最近、社員総会が社内副業説明会に変わっちゃった。(今は大体150名くらい)

※参考記事
制度がどういう背景で生まれたのかについて書かれた記事はこちら。
社内副業プラットフォームの運用開始についての記事もありました
社内で話してて、どういう効果があるんですか?とか、やりたいっていう人が費用対効果どうはかるのか?KPIを出して欲しいっていっぱい出る。経営陣で合意とれない。テレワークも合意取れなかった。最初これくらいのサイズでやります。気付いたら、利用している部署が出てくる。利用したいなという部署が出てくる。で、変わっていく。小さく始める。なるべくかけあいでやる。社員総会もプレゼンを用意して、じゃなくて、かけあいに持っていこうとしている。その場でつくる方が面白い。

2.賢州さんコメントで印象に残ったこと

ティールの誤解。経営者が全部設計して、学んだからこれでいくとトップダウンでいく組織がある。それってあまりうまくいかない。いろんな仕組み的な実験を現場で小さく始めて、よかったら広がるんじゃないの。そのプロセスをよりオープンに透明性を持ちながら。現場から仕組みが全体に浸透していくという方が健全。経営者が設計してはダメということではない。

3.私のGaiaxとの接点
A.2018年に社内見学ツアーに参加した
何かがきっかけでGaiaxのことを知り、ほぼ同じ時期に社内見学ツアーをやっているとのことで参加しました。その時の感想をnoteに書きSNSで発信したところ、担当の方から連絡をいただき、そのままGaiaxのブログに載ることになりました。(私の肩書きは古いものです。また、ブログ記事は改行が詰まっていて見にくいので読むなら私のnote記事がオススメです。内容は同じです。)

B.Gaiaxで生まれたプロジェクトに実は参画している
上記の社内ツアーとほぼ同じ時期にGaiax主催の『本を読まずに参加できる読書会"Booked"』というイベントに参加しました。

成り立ちはGaiaxのナタリアさんと別会社の社員だった遠藤桂視子さんが紹介を通じて出会い、ナタリアさんが「本を読まずに参加できる」というコンセプトを話したことがきっかけで形になったと聴いています。それが2018年のこと。その後、第1回目の参加者である沖山誠さん、第2回目の参加者だった浦野真理さんが運営側であるプレゼンターや進行役になっていきました。(このあたりのエピソードはこちらの記事で詳しく紹介されています。ご縁がご縁を呼びというのが垣間見えるかと思います。)

私が参加したのはその体制になってしばらく経った2019年の10月です。ピンとくるものがあったので、イベントに継続的に参加したり、当時はコロナもなくリアルでの開催のみだったので終了後に残り、雑談をしていく中で浦野さんに声をかけていただき、運営側に関わっていくことになり、早2年が経ちました。

また、当初イベントの感想を何度か自主的に書いてアップしていた関係で、メディアのライターになりませんかと声かけいただけたこともありました。

このように、そもそもの企画の成り立ちや、プロセスでの人の巻き込み等からGaiaxが内と外の境界線が薄いことが分かると思います。また、その時の社内の人との会話の中で、日報をtwitterでやることになったとか新卒の人が動画日報をしているといった話題も出ていたり、短期間に何度かイベントに参加し顔見知りになってきたら人事の方から声をかけていただくといった、組織のカルチャーとして挙げられているフリー&フラット&オープンさや、物事を進めるスピード感を感じたことを覚えています。

4.どういう経緯でこのような組織体になっていったのかが垣間見えるエピソード
今回の話では、プロセスについては分からなかったので調べてみたところ、組織として大きな舵取りがなされたのは2014年頃のことだったそうです。詳しくはGaiax創業者、代表の上田さんがETIC創設者の宮城治男さん、ティール組織解説者の嘉村賢州さんと対談記事を読んでいただきたいですが、一部引用します。

上田 5年前にアップバンク(AppBank株式会社:当時ガイアックスの100%子会社)の社長だったマックスむらいさんが、会社が赤字から黒字になった瞬間に、「この会社を俺のものにしたい(カーブアウトさせたい)!」って言ってきたんです。まあ、当時の経営陣はみんな唖然ですよね(笑)。
上田 そうなんですよ! その時社内でも意見が割れました。反対派の意見は、「本ケースがどうではなく、一番の問題は本ケースを許した後、数百人いる社員が自分も自分もと言い出しらたどうするんだ。」と言うものでした。対して賛成派の意見は、「心配するより、個人の性善説に任せよう。」というもので、これが揉めに揉めて。結局、経営層に近いメンバー20人のうち、反対派だった6割くらいが退職するという、かなり思い切った決断がありました。結果的に見るとこのカーブアウトした会社はその後上場して、投資していたガイアックスとしても、そのまま一事業部であった場合とは比較にならない程のリターンがあったんですが。これをきっかけに、その後「個人の想いを大事にする」という経営方針になりました。今となったらもう自由すぎて、もはや何がいいのかもわからない状況になってます。

宮城さん曰く、上記の意思決定の以前は上田さんもスーツでカチッとされていたそうです。また、「このプロセスで失ったものと得たものは?」という問いについてこのように言われています。

上田 失ったものは「コントロール権」ですかね。僕や経営陣のコントロール権は何もないんです。反面、得たものは「自由」ですよね。今は僕だけでなく、みんながとても自由にオフィスを歩いてるな、って感じはありますね。

組織体制を移行しやすかった要因についても話されています。(以下2つはこちらの記事からの引用です

うちの会社でこの働き方に移行しやすかった点としては、創業時から行なっている「個人のライフプランの徹底」が一番影響があったと思っています。ガイアックスでは、一人一人が人生で何を成し遂げたいのか、どのように生きたいのかを一番大切にしており、目標面談でもそれを重視しています。そしてそれを叶えるための手段として、ガイアックスという器があり、必要な時だけ参加するというような意識を持ってもらうことを大切にしています。これを言い続けるのは、社長やリーダーの最も重要な役割の一つではないですかね。

まず何から取り組むのかについてはこのように言われています。

僕自身、やっぱり個人のライフプランが一番重要だと思っています。ティール組織を目指そうと言うと複雑でハードルが高いけれども、社員一人一人のライフプランを大事にしましょうと言うと取り組みやすいのではないでしょうか。ただ、現時点日本の組織では自身のライフプランを聞かれた時に、語れない人が大勢いると思っています。まずは一人一人が自身のライフプランを熱を持って語れるようになることが需要だと思っています。

つづく

本当は3社+パネルディスカッションの感想も載せたかったのですが、思った以上に話を広げてしまい、ここで息切れしました(笑)ので、下書き保存して完成を待つのではなく、第一弾としてこのまま公開することにします。

続きはこちらから。


追伸その1、

Gaiax社の体制や制度についてもっと知りたいという方はHPで紹介されていますのでよければご覧ください。

ガイアックスにおいての働き方に対する取り組み

追伸その2、

ティール組織について学びたい・深めたいという方は嘉村賢州さんが代表理事をつとめているホームズビー主催の"ティール組織ラボ"の情報をご覧ください。


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