見出し画像

春のような温かさがいつもある学校に… メトロノームが戻るように 〜心の宝物113

🌷あっ…!


山に囲まれた小さな学校
運動会のかけっこは、走る子どもたちにも、見ている私たちにも、手に汗握って力が入る種目です。1年生としては大柄な彼女も、スタートを目前に、全身ががちがちになるほど力が入っていることが、遠く本部席からも見て取ることができました。

「よーい」
緊張が最高潮に達し、静まり返るグラウンド。
スタートのホイッスルと共に静から躍動へ。
矢が放たれるように、子供たちが駆け出します。
次の瞬間、私は、おそらく多くの人も、「あっ…!」と叫んでいました。

緊張の開放に足がもつれたのか、スタート直後に彼女は転倒しました。


🌷メトロノームが戻るように


彼女は一瞬顔をゆがめました。痛み、悔しさ、恥ずかしさ、悲しみ…。様々な感覚や感情が、一度に彼女の全身を包んだことでしょう。

「泣いてしまうかな…」
そう思った瞬間には立ち上がり、歯を食いしばって、はるか先の仲間の背中を追い始めました。

生き生きと人や物事に正対する。彼女は、教室やグラウンドで、そんな自分を選択する時間が多い人でした。名を呼ばれれば大きな声で返事をし。手を挙げるときは「ひじピン」で。

幼い決意が揺らぐことも、くじけることもあったでしょう。しかし、メトロノームが戻るように、彼女の選択は、彼女が望む方向に戻っていきます。いや、彼女自身が戻すのです。

その積み重ねが、転んでも歯を食いしばって走り出すという姿に、それを支えた心の力に結実したのでしょう。

転んで悔しかったことよりも、立ち上がって走り出した自分への誇りが、今日の思い出になりますように。

そんな思いでお伝えしました。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?