2浪宅浪体験記⑩ ~再燃~
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友人は大学の部活の都合ですぐに戻らないといけないということで
会場の正門前で別れた。
「本当にありがとう」と心の中で頭を下げて、彼を見送った。
さて、もうやるしかない。
もしかしたら、奇跡的に自分の知っている問題ばかり出て高得点が取れるかもしれない。
やってやるぞ。
センター試験が開始された。
問題を解き始めたが、やはりわからない。
でも必死に考えた。ああでもないこうでもないと。
休憩の時間も、もしかしたら運よく参考書の問題が出るかもしれないと
穴が開く程眺めた。
周りは制服を着た高校生ばかりで、ジャージで試験を受けている人は僕だけだった。
普段なら視線を気にしてしまっていたがそんなところではなかった。
1問でも多く問題を解かないと。
そうじゃないとあいつが応援しに来てくれた意味がなくなってしまうじゃないか。
こんなみじめでどうしようもないくそったれな僕のために来てくれた意味がなくなってしまうじゃないか。
死に物狂いで問題に取り組み1日目、2日目と時間があっという間に過ぎていった。
手ごたえはほとんどなかったが、もしかしたら奇跡が起こるかもしれないと願い
次の日、早速、自己採点をしてみることにした。
結果は
6割弱、、、だったような気がする。
志望校を受けるには到底及ばない点数だった。
友人や家族への申し訳なさで耐えがたかった。
が、しかし、なぜか不思議と「あきらめる」という言葉は浮かんでこなかった。
もう一度だけチャンスが欲しい。あともう一回だけやり直したい。
心の炎が点火されていた。
つづく
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