見出し画像

【映画#54】「悪人」

こんにちは、三太です。

ここ数日少し体調を崩していました。
一時熱も少し上がったので、これはヤバいかなと思ったのですが、そのあと熱自体はすぐに引きました。
それでもあまりすっきりとはしていません。
おそらく睡眠が足りてなかったからなのかなと思っているのですが、なんとか元に戻していきたいと思っている今日この頃です。
そんなときにこの映画を見るとは・・・

では、今日は映画「悪人」を見ていきます。
吉田修一の同名小説を原作としています。

基本情報

監督:李相日
出演者:清水祐一(妻夫木聡)
    馬込光代(深津絵里)
    増尾圭吾(岡田将生)
    石橋佳乃(満島ひかり)
    清水房枝(樹木希林)
    石橋佳男(柄本明)
音楽:久石譲
上映時間:2時間19分
公開:2010年


                                             清水祐一


                                               馬込光代


                 増尾圭吾と石橋佳乃


              清水房枝を取り囲む報道陣


            佳乃の父、佳男とその妻、里子

あらすじ

ガソリンスタンドで給油を終えて、峠道を行く祐一のシーンから始まります。
この時点で祐一は携帯で怪しげな動画を見ていて、すでに不穏な空気が漂っています。
そんな中、博多で働く保険外交員、石橋佳乃が峠道で殺害されるという事件が起こります。
その事件を中心に容疑者とされる男たち、その家族、そして佳乃の遺族など様々な人物の視点から物語が描かれます。
その物語を通して、悪とは何か、誰が本当の悪人なのかが描かれます。

設定

・サスペンス
・ヒューマンドラマ
・逃避行

感想

涙が止まりませんでした。
役者同士の魂がぶつかり合い、そのぶつかり合いからこちらの魂も揺さぶられるようなそんな映画でした。
役者という仕事の奥深さを改めて捉えなおしました。

二つのシーンがとても印象的でした。
一つ目はイカ料理を出す食事処で祐一が光代に佳乃の殺害を告白するシーンです。
妻夫木聡がすごすぎました。
もうまさに祐一でした。
祐一が峠道で感じたであろう悔しさがダイレクトに伝わってきました。

もう一つは最後に警察が灯台へと突入するシーンです。
祐一が光代の首を絞める、けれどもキスをする、その手に触れたい・・・。
行動は矛盾しているのですが、ここには光代に対する祐一の愛があります。
バックに流れる音楽も相まって、めちゃくちゃ感動してしまいました。
命をかけて、人生をかけて多くの人の手でこの作品は作られているなと感じました。
本当に素晴らしかったです。

「悪人」では全てにおいてずれているところから不幸が来ているのかなと感じました。
恋人として相手を自分とは合ってないと思うずれ、祐一に特徴的なのですが、自分の感情をうまく表現できないというずれ・・・。
ここが悲しみの始まりでした。

そしてあとから自分がなぜこんなに涙したのかを考えていました。
その理由としては嬉しかったというのが大きかったのかなと思います。
今こうやって書いているnoteの始まりとなる作品はこの『悪人』でした。
自分自身この『悪人』にというか吉田修一さんに全てをかけよう(というと少し言い過ぎかもしれませんが、それぐらいの気概で)という思いでnoteを綴っています。
その自分の思いとも呼応するというか、この作品に全てをかける人達がここにもいるんだというのが嬉しかったのだと思いました。
このときの思いをできるだけ言語化しておきたいなと感じたので、書きました。

灯台の二人をつつめ春夕焼

その他

・脇を固める役者が豪華
(房枝が樹木希林で、佳男が柄本明というのが渋すぎました。)
・雨の日がやたら多い
(これは映画「セブン」と同じ)
・祐一と光代が逃げ込んだ灯台の景色が素晴らしい。

ウィキペディアより
→モントリオール世界映画祭ワールド・コンベンション部門に正式出品され、深津絵里が最優秀女優賞を受賞。
→作中の後半で祐一と光代が訪れる灯台のシーンのロケ地として使われたのは、五島市にある大瀬埼灯台。

吉田修一作品とのつながり

原作と少しずつ違うシーンがあったり、そもそも登場しない人物もいたりします。
・違うシーン①祐一が母に置き去りにされた場所。
原作はフェリー乗り場、映画は灯台の見える場所。

違うシーン②祐一と光代が逃げ込んだ場所。
原作は灯台の近くの小屋、映画は灯台そのもの。

→映画ではより灯台が重視されているのかなと感じました。
実際に灯台の景色は素晴らしかったので、やはり映像をおせる映画は灯台をポイントとするのはアリかと感じました。

・登場しない人物
金子美保。
原作では祐一がなぜ最後に光代の首を絞めたかを説明する重要な役回りを果たしています。
その美保がいないことによって、なぜ祐一が母親からお金をせびるのかも含めて少しぼやけてしまう可能性はありました。
けれども、原作にないシーンとして映画では祐一が光代に灯台から夕日を見せるシーンがあります。
ここで祐一の人間性を示し、全てを取り戻したのではないかと考えました。

これらを含めて、原作の重要な要素を残しつつ、2時間19分の映画にするのは本当に並大抵の苦労ではなかったと思いました。(実際編集前の映像は3時間15分あったみたいですし、吉田修一さんと李相日監督の脚本作りは1年にも及びました)
映画は小説にはない映画の良さを前面に出して「悪人」が表現されていたと感じました。

以上で、「悪人」については終わります。

映画「悪人」も特別な作品の一つとなりました。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

出典:映画ドットコム「悪人」

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?