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【映画#77】「居酒屋」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

7月に入りましたね。
もう2023年も折り返しました。
早いな、あっという間に過ぎたなと思う反面、それでも半年分の色んな活動はしてきたなとも思います。
まだ半年ありますので、さらに充実させていきたいと思っている今日この頃です。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「居酒屋」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの3作目です。

基本情報

監督:ルネ・クレマン
出演者:ジェルヴェーズ(マリア・シェル)
    クポー(フランソワ・ペリエ)
    ヴィルジニー( シュジ・ドレール)
    ランチエ(アルマン・メストラル)
上映時間:1時間52分
公開:1956年

あらすじ

舞台はパリ。(「#76 緑の光線」と同じですね)
ジェルヴェーズという女性のもの思いから物語は始まります。
ジェルヴェーズは夜に帰ってこない彼氏、ランチエ(結婚はしていませんが、二人の間には二人の男の子がいます)のことで悩んでいます。
どうやら向かいのアパートのヴィルジニーとアデール姉妹の部屋で浮気をしているようです。
そしてランチエは家に帰って来たかと思うと、なんとアデールと一緒に家を出ていきます。
このことでジェルヴェーズは洗濯場でヴィルジニーと大喧嘩をします。

時は流れ、ジェルヴェーズは屋根職人のクポーと結婚します。
二人の間にはナナという女の子が生まれ、またジェルヴェーズは念願だった自分の店(今でいうクリーニング屋のようなもの)も持てます。
結婚生活は万事順調にいっているかのようでしたが、ある事故をキッカケにして暗転していきます。
男たちや周りの人に翻弄されるジェルヴェーズの運命が描かれる作品です。

設定

・不倫
・女性の運命
・結婚生活

感想

運命がじわりじわりと暗転していく様がとてもリアルに描かれていました。
暗転していくだけではなく、好転しそうなところで好転しない様も同様にリアルです。
そこから感じられるのが、ジェルヴェーズにひたすら男運がないということ。
ランチエは女好きですし、クポーは良い人だったのですが、あることがきっかけで酒浸りの生活になります。
グジェという良い人そうな男性も出てくるのですが、ストを理由に逮捕されてしまいます。
どこまでも上手くいきません。
正直ジェルヴェーズに対しては、救いはゼロに等しいなと思いました。
ただ、最後に少し描かれるナナの様子も含めて、子ども達に希望が託されているように思います。

映画の中で明らかに言語化されるわけではないのですが、(二人が間違われるくだりはあります)ランチエとクポーはとても似ており、ジェルヴェーズはランチエの面影をクポーに求めたのかもしれません。
ここら辺も破滅への道に繋がっていたのでしょう。
あと、70年近く前の映画だからか女性の立場がとても弱いようにも感じました。
完全にそういうわけではないのですが、ほとんど男の言うがままに受け入れてしまうような感じです。
少し時代の違いも感じました。

炎昼の希望友の輪ナナはゆく

その他

・モノクロ

・原作はエミール・ゾラの小説『居酒屋』

・ウィキペディアより
→主演のマリア・シェルが第17回ヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞

→ルネ・クレマン監督は「太陽がいっぱい」の監督でもある

『空の冒険』内の「居酒屋」登場シーン

短篇のタイトルの一つとして出てきます。
 
吉田修一が書いた「居酒屋」は武井満雄という語り手が、仕事で北陸に行ったときの話です。
武井は臨時の集客施設の舞台設営などを取り仕切る仕事をしています。
そこで出会った現場主任の小西という男性との子どもの会話から、自らの二人の子どもとの過去を回想します。
また、幼少期、自分が祖父母の家に預けられたときの不良の従妹との関わりも回想します。
その従妹がどうやら今では自分の小さな居酒屋を経営しているようなのです。
映画との共通点は、従妹が自分の店を持つように、ジェルヴェーズも店を持つところかなと思いました。
相違点は、映画の終わり方はあまり救いがない感じでしたが、短篇の方は良い感じで終わりました。
 

吉田修一作品とのつながり

・吉田修一作品とのつながりではないのですが、女が階段を上る時からずっと女性が主人公の映画が続いています。

以上で、「居酒屋」については終わります。
なぜこんな破滅的な話が描かれたのか、今でも気になっています。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:Amazon「居酒屋」

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