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エゴン・シーレ展で思った事

エゴン・シーレ展に行ってきた。
そこで、思いがけず素敵な作品に出会った。

それは、同時代に活躍したアルビン・エッガー=リンツという画家の《昼食(スープ、ヴァージョンⅡ)》という作品だ。

5人の農民が昼食のために食卓を囲み、農作業の合間の疲れた様子で、そっとスープを飲んでいる人もいれば、ぐったりとテーブルに寄りかかっている人も居る。
静かなその光景を、午後の光が包んでいる。

この光景を絵に残した感性が、とても好きだ。

描かれた彼らにとっては、日常。
ただ、少し離れて見ると、生き物の営みに刹那的な美しさを感じる光景だと思う。

例えば、遅くまで勉強に励む弟の横顔や、焼肉を頬張る友達の笑顔、仕事で疲れて船を漕ぐ母の寝顔。

最近は専ら、在宅ワークに勤しむ私の横で、日々を生きるチンチラの姿だ。
以前記したように、日中はぐっすり眠り、お腹が空くと眠い目を擦りながら食事し、夜は部屋中を駆け巡る。
毎日同じ事の繰り返しなのに、妙に一瞬一瞬が刹那的な美しさを持っている。

刹那的すぎて仕事の合間に見ると、うっかり泣きそうになってしまうほど。
不思議だ。
命が燃えているのが見えるからだろうか。

思わぬ形でリンツに共感した私は、そこでも家で待つチンチラを思い出して涙ぐんだ。
そして、その絵葉書を買った。
(周りの皆さんは、エゴン・シーレ作品の絵葉書を買っていた。)

帰ってきて絵葉書を見ながら、あの絵の前で感じた気持ちをなぞっている。
横ではチンチラが、眠そうな瞳でこちらを見上げている。
その姿にまた、うるっ、としてしまったのだった。

エゴン・シーレ展に行かれる方がいれば、是非この作品もじっくり眺めてみてください。







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