転職ストーリー15:初挑戦のスタートアップ企業の実情
こんばんは!
大手企業を退職して飛び込んだアメリカのPre-IPO企業。
私が入社したタイミングは
「これから日本市場へ本格参入。本社も投資家からのファンドも確保して数年のうちに上場を目指す。」
という希望に満ち満ちたタイミングでした。
名だたる投資家からの資金調達も揃っており、
私も夢に見た上場して株で儲けて一攫千金!?と夢を見て入社したのでした。
当時オフィスはまだリージャスのオフィスで、都内の一等地に引っ越しが決まっているような段階。
私は当時、香港にいる人事ディレクターの採用で入社しました。
日本の社員はその頃100名くらいだったかしら?
もう、どんどん採用して、毎月人がどんどん入ってきて。
あれよあれよというまに150名となり、もうまもなく200名に届くんじゃないかとうところまで、転職早々、膨れ上がっていきました。
IT企業ということもあり、また創業者がインド系ということでかなりインド色が強いカルチャーではあったけど、それよりも、将来この会社は、業界の中でも注目される有名企業になるかもしれない。
そんなメンバーの一員になれるかもしれないという希望で毎日を過ごしていました。
ただ、同時に細かい話で言えば、日本に組織が立ち上がっていないので何をするにもアメリカの本社にお伺いを立てて、日本の特異性を説明して、承認を取るという作業が全てに求められていました。
例えば人事で言えば、社労士さんとか、勤怠管理とか。
それまでの会社では当たり前に揃っていたことがない。
スタートアップといえばそれまでだし、その整備を求められて入社したわけなので、覚悟していたとはいえ、実際の作業が自分が想像していた現場間のさらに一つ下の現場感があったのは否めませんでした(笑)
なんやかんや衝撃を受けつつも、半年が過ぎようとした頃、
あの
コロナ&マスクない、ない騒動
が始まったのでした。
武漢風邪とか言われてましたよね?(懐かしい)
香港の上司から、オフィスからの帰宅途中に「T子、日本にマスクはあるのか?」と急にチャットが来て、
ろくに確認もせずに
「マクスなんてドラッグストアにあるじゃん」と回答して、
最寄駅について近所のドラッグストアに行ったら、在庫なし。
「とにかく買い占めろ!!!」
「社員のために、マスクを確保せよ」
とばかりに、次の日からお金に糸目は付けずネットで買い漁ったのは良い思い出です。
その後、緊急事態宣言が発令され、オフィスクローズ。
全員が一気に在宅ワークをせざるを得ない状況になったのは記憶にまだ新しいですね。
そんな中、スタートアップの我が社、時代の先読みをかなりの勢いでしたのか、一気に人員削減への意思決定へと舵を切ったのです。
コロナで市場の経済活動が止まってしまったこと、その中でも上場へ向けての体質改善、投資家の意向など様々な要因はあったと思うのですが、あのコロナで皆が街に出ることも許されない、家族以外の誰とも会話をすることも憚られるような、世の中が凍りついているような中で、いきなりバサっと大量の人員削減を発表。
グローバル全体の決定だったので、アメリカ本社はもちろん、ヨーロッパ、アジア、日本も例外ではなくその影響を受けました。
「急成長の中で自分を成長したい」
「これからの組織に身を投じて、何かを成し遂げたい」
「稼ぎたい」
それぞれの想いを抱いて、過去のキャリアに区切りをつけて足を踏み入れてくれた会社。
・不満もなくそこそこ満足なキャリア生活していた人
・大切なお客様や同僚との関係に区切りをつけた人
・転職に心配した家族を説得して入社した人
・ご自身やご家族の健康、介護など諸事情でまとまった月々の収入が絶対必要だった人
そんな理由を押し除けて、会社側が一方的に決断して、タイミングも会社側主導で決めて、強制的に新しい道を促す。
それが世間で言われるリストラ、アメリカだとレイオフと表現されるものです。
人事として、何度もそういう立場には立ち会ってきましたが、この会社で経験した人員削減はその中でも、対象となる社員の規模や本社の日本の労基法に関しての理解不足、支援不足、一人でこなす業務量などなかなかにタフな状況でございました。
会社が決定したことでも、実行役となる人事は、仕方ないけれどマイナスエネルギーを全面に浴びますからね。
私は人事部長として、執行係をしなくてはならなかったので対象にはなりませんでしたが、部下をはじめ、人事部の同僚を全て失いました。
個々人の方にはそれぞれの人生があり、リストラ対象になったことのショックはあるものの、それぞれが必要な時間を使って、消化し新しい道を歩みはじめてくれています。
折に触れ、それぞれのその後のお話を聞くと、
その人自身のストーリーを知り、人間の持つ強さに触れ流ことができ
人間って素晴らしい!
毎回いつもいつも、じんわり心の中に温かいものが流れてきます。
ただ一方で、
自分の最高の人事組織を作りたい!
私自身が志した目標とは真逆の立場をとらざるを得ない状況にいる自分は、
あぁ、こんなんじゃなかったなぁ。。。。
転職は失敗だったかもしれないなぁ。。。
これから、どうしよう。。。
かなりの縮小を余儀なくされ、期待していた上場の話もかなり延期したと聞き、仕事も新しい取り組みの予算などもらえるはずもなく、
仕事らしい仕事もできず。
お給料は振り込まれるものの、なんの成長も感じられないただ悶々と、鬱々とした日々をマスクと共に過ごすことになったのでした。
続く。
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