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ステキブンゲイで、小説書いてました。(第十三話)

第十三話   深淵

『黒須って言う人、このままだと、消えちゃうよ。』
「消える…?なら、今の内に私が撃つしかないでしょう。」

サトコは、サジタリウスの引き金を引こうとする。
『あ、だめよ。今は真空状態なんだから。今撃つと時空が歪み次元がバラバラになっちゃうわよ。』
アリアは優しく諭す。
「どうなろうが、同じでしょう。何かが変わるわけではないんだから…」

『この霊はね…特殊なの。レアケースなのよ。
死霊になって彷徨っていた所を#道化師__ジョーカー__#に保護されたの。この子は、元々は貴方とおんなじ。あの娘はドジな子でね…それで事故にあったの。可哀想に…いても居なくてもおんなじで存在感がないから…事故の時も、周りに誰もいなかったのよ。風のような切ない羽虫のような存在。』
サトコはアリアのその気だるげで小馬鹿にしたような喋りから、何処かしら胸にチクチク突き刺さる様な感覚を覚えた。
「#道化師__ジョーカー__#は、何処にいるの?

『じゃあ、私のとこに来てよ。教えてあげるから。』
「嫌だ。私はまだ生きてるよ。」
サトコは声を強めた。
『あ~、結局みんなコレだ。教えてあげない。』
 時は再び流れ、黒須と霊は再び動き始めた。黒須は鎌を振るい、縛り付けた霊に向かって弾丸の様なスピードで投げつけた。
ブーメランのように霊に
霊はうねうね触手を伸ばし、ブーメランひ跳ね返した。触手は波打ちギザギザ伸び、二人に襲いかかる。化け物は縛られる程、徐々にパワーアップしているようだった。
「ーまずい…コイツ、益々強くなりやがってる…」
黒須は汗だくになる。
霊は徐々に大きくなっていく。
黒須は術を解くと、鎌を構え化け物目掛けてロケットの様に突進し首を切り落とした。

すると、黒い竜巻の様な物が巻き上がり、二人は目を覆った。
辛うじて目を開けたーと化け物全身にヒビが入り、そして、粉々に粉砕された。
「誰かそこにいるのか…?」
黒須は辺りを見渡す。
 アリアがさっき、何か仕掛けたのだ。そうとしか考えられなかった。しかし、どのタイミングで何の為にー?

黒須は、案山子に魂を転移させた。

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