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冬休みにこんな本はいかが?

師走とはよく言ったもので、本当に12月は慌ただしいですね。
だらだらと過ごす寝正月が、今から待たれます。

冬休みは、ゆっくり本でも読もうかな…という方も、多いのでは?
今日は、最近読んだ本の中でオススメのものをご紹介します。

★イギリス発の冒険ミステリー
『葉っぱの地図』
ヤロー・タウンゼンド 作
井上里 訳  小学館

12歳のオーラは母さんを亡くし、たった1人で住んでいる。
植物の言葉がわかり、会話することができるオーラは、村の植物たちが見たことのない病気にかかり、異変が起きていることに気づく。
なにかが変だ。なにかがおかしい…。

さらに、人々の間にも謎の病が流行りだしていた。
植物を使う治療士だったオーラの母も、その病に命を奪われたのだ。
オーラは、なにが起きているのかを探る旅に出ることを決意するが、残された手がかりは、母さんの残した手帳だけ。
病気の兄を助けようとするイドリスと共に、謎を解く冒険の旅が始まる…。


最初、オーラは「ひとりでできる」と仲間を拒み、自分のためにばかり行動します。イドリスとは、口喧嘩ばかり。さらに、助けを求め旅に加わるアリアナにも、冷たく振る舞います。
しかし旅が進むにつれ、次第に仲間の協力がなければ、ひとりでは何もできないことに気づくオーラ。徐々に他を思い、意地を張らずに受け入れ、行動するようになっていく姿がうまく描かれています。

そして、なんといっても後半のハラハラドキドキ。ページをめくる手が止まりません。
悪役は、とことん悪役。
ダークな憎たらしい大人たちに、子どもたちが謎を解決しながら立ち向かっていく様は、気をもみつつも目が離せません。
ジョーン・エイケンの『ウィロビー・チェースのおおかみ』に始まる冒険シリーズを、思い出しました。

植物の力に思いを馳せながら、読んでほしい一冊です。


★ 角野栄子さんの童話とエッセイ
『月さんとザザさん』
角野栄子 作・絵  小学館

1日中文句ばかり言っている、おばあさんのザザさん。
うんざりしたザザさんの家のスミコさんは、スタスタ歩き出して家出してしまいます。
怒って追いかけるザザさんに、空から月さんが下りてきて話しかけます。
「いっしょに楽しい話をしようじゃないか。……月と話すというのもあんがいおもしろいよ。」


次々とおかしなこと、不思議なことが起きる、ユーモアとナンセンスたっぷりの童話です。
角野栄子さんは、どうしてこんなに色々なアイデアが思いつくのだろうと、感心してしまいます。
そして何より、ご本人か描いた絵がなんともいい味を出していて、とっても楽しい!

1話づつが短くて、中には突然ブツッと話が終わり、え〜?この後どうなったの〜?と、続きが気になってしまうものも。
後はあなたが考えて、ということでしょうか(笑)

少しづつ、子どもさんに読み聞かせるのも楽しそうな、頭を柔らかくしてくれる一冊です。


『おいしいふ〜せん』
角野栄子 著   NHK出版

食いしん坊の角野栄子さんが、食べ物にまつわる思い出を中心に、日々の出来事を書いているエッセイです。
たまたまですが、こちらの本の挿絵もご本人が描いています。(しかも、オールカラーでとっても可愛い!)

エッセイの上手な方は、いかにも気軽にサラッと書いているようでいて、真似しようと思っても、なかなか同じようには書けないもの。
ピカソの絵が、いたずら書きのようでいて真似できないのといっしょですね。
こんな風に私も、スーッと心に入ってくる、さり気ないエッセイが書けたらいいのになぁ…と思ってしまいました。

読んでいると、なるほど…ここから、あの童話を思いついたのかな?とか、この思い出があの本に繋がっているなかな?と、思わせるようなエピソードもあって、興味深かったです。

日常の中に落ちている、キラッと光る小さな宝物を拾い集めたかのような一冊です。


★漫画家の面白人生
『もしもし、アッコちゃん? −漫画と電話とチキン南蛮−』
東村アキコ 著   光文社

作品が次々ドラマ化されている人気漫画家、東村アキコさんのエッセイ。
漫画家を目指すようになる子ども時代からの出来事を、常に人生の転換期につきまとっていたという「電話」にまつわる話とからめながら書かれています。

面白い作品を生み出す漫画家さんの人生は、日常からして、やっぱり面白いんだな…ということが、よくわかる本です。
ところどころに挿まれたイラストが、さすが、絶妙で笑いを誘います。
(私のお気に入りは、綾野剛さんの顔になるチャウチャウです(笑)

数あるエピソードの中でも、特に印象的だったのは、バルセロナオリンピックの男子マラソンを見て好きになったという、森下広一選手の話。 
高校の新聞部のフリをして、森下選手の所属先である「旭化成」に電話をかけ、なんと飛行機の便を突き止めると、学校をサボって待ち伏せ。
見事、サインと写真を撮ることに成功します。
さらに、公衆電話をかけようと電話帳を引く森下選手にダッシュで駆け寄り、
「森下さん!私、電話帳引きます!父がNTTなんで!」

このぶっ飛んだ行動力。やはり、只者ではないですよね(笑)

お休みの日に、のんびり寝転びながら読むのに最適の一冊です。




本屋さんに行くと、ついつい一冊、二冊と買ってしまい、読んでいない本が積まれてゆきます。
ここで図書館に行ってしまうと、さらにカオスになると思って、しばらく自重する日々。
そういうそばから、ネット注文した本が届きました。
ポイントだし、まあ、いっかー…と、今年も何度呟いてはポチッたことやら(笑)

これはもう、あの有名な病気ですね。 
「活字中毒」。
しかも、電子より紙を好む、面倒くさいタイプの方です。
有効な治療法はないので、あきらめて新しい本棚を買い足すしかなさそうです。
そして本棚を買って得たポイントで、また本を買うんだろうな…(笑)









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