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「みみずくは黄昏に飛びたつ」雑感

なにをかくそう高校生の頃から村上春樹の大ファンです。そう考えると、30年近く春樹さんの作品を読んでるんだ、、私。

というわけで、作家の川上未映子さんが村上春樹さんにインタビューした本(「みみずくは黄昏に飛びたつ」)を読んだのですが、内容がとってもよかったので、その感想を少し。

これまで、食わず嫌いのような感じで川上未映子さんの著作は読んだことがなかったのですが、村上春樹さんへのインタビューは村上春樹作品への愛が感じられ、質問と回答がとてもよかったです。今まで、春樹さんも沢山のインタビューを受けてきたでしょうが、川上さんによるインタビューは特別なものだったようです。あとがきにもそのことについて述べられています。

 なんというか、魅力的で出来のよい熱心な女学生が教授に教えを乞い、教授が「やれやれ仕方ないなあ、では、創作の秘密を少し教えてあげよう」というようなスタンスでできたインタビューではないかと。聞き手と話し手の間に流れる親密さというのでしょうか。川上さんしか聞き出せなかったであろう話が語られていました。

インタビューの中で、「『イデア』という言葉に特に意味はない」とか春樹さんがさらっとおっしゃるわけですよ。「イデア」の語源や解釈までいろいろ調べてこられていた川上さんは予想外の答えに、「すごく頑張って勉強してきたのに無駄だった〜」感が半端なく、、、そこも女学生と教授みたい。私も「イデア」について調べないと「騎士団長殺し」は真に理解したことにはならないな、と思っていて実際調べようとしていたので。そこを調べに調べてインタビューに挑んだ川上さんの気持ちがわかるゆえに、そのくだりにはいたく同情したのでした。

この本で、川上未映子さんの作品にも興味がわいてきたので、食わず嫌いをやめて、これからちょっと読んでみようかな。


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