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マスコミ専門の転職エージェントMにびっくりするほどの超絶ブラック企業に無理やりねじ込まれました

 悩んだ末、noteにはマスコミにご興味のある方も多くいらっしゃるので、注意喚起のために私の苦い体験をここに書き残すことに決めました。なお、諸事情を鑑み、社名などの固有名詞を伏せ字にさせていただくことにつきまして、何卒ご理解いただけると幸甚です。

 タイトルの通り、私がフリーのジャーナリストになる前、マスコミ専門の転職エージェントMに登録したらびっくりするほどの超絶ブラック企業に無理やりねじ込まれた話をします。

 私は某大新聞の紙面を編集制作する編集部員として働いていましたが、キャリアアップを期待してMに登録したのが間違いでした。結論から申し上げますと、マスコミとも関係ない全く希望していなかった超絶ブラック企業に無理やりねじ込まれた末、心身を病んで数ヶ月で退職しました。心底、Mを信じて利用したことを後悔してます。

 具体的な詳細を以下に全部書きます。

 Mはコピーライターを多数輩出する出版社Sのグループ企業で、そのためSの持つ人脈を駆使した広告・Web・マスコミ業界の求人数を売りにした転職エージェントです。

 私はMに登録後、件の超絶ブラック企業(以下B社)から「あなたは弊社に相応しい人材なので、ぜひ面接に来て欲しい」と担当者経由で声をかけられました。担当者が勝手に私の職務経歴書をB社に見せていたそうです。

 B社の求人内容は私の希望する条件に全く当てはまらないものでした。そもそもB社は健康食品や化粧品を扱う企業で、マスコミで育った畑違いの私にとってあまりにも筋違いなオファーを不思議に思いました。しかし、当時の私はM経由で求人にいくら応募しても書類もまともに通らず、不採用の理由を担当者に問えば人格否定ばかり受けていました。B社は失礼ながら自分で転職活動していたら絶対に応募しないタイプの会社でしたが、時間もなく連日の不採用通知に気弱になっていた私は「面接だけなら受けてもいいか」と思ってしまいました。

 いま思えば、Mはお得意様であるB社に忖度し、B社が目をつけていた私がよその会社に行かないよう、いくら他社に応募しても書類も通さずに不採用扱いにしていたのではないかと疑っています。

 B社はMの担当者経由で内定を通知してすぐに「入社時期を1ヶ月伸ばしてくれないか」と一方的に言ってきました。これ以前も色々ありすぎて不信感がたまってた私は「当社の話と違うので今回の件は見送りたい」と伝えたらMの担当者が血相を変えました。さらに、Mを通さずに受けた他の会社の合否結果を待っていると伝えるとあろうことか「その会社はどこか」詮索してきました。知ってどうするつもりなんでしょうか。まさか妨害するつもりなのかとゾッとしました。入社日の調整と他社からの結果待ちを理由に待って欲しいと伝えたのに、彼は翌日もしつこく電話をかけてきて、入社日の件かと思って出たら「明日までに入社するかどうか決めろ」と決断を促してきました。まだ入社日もきちんと決定してないのに、表参道にあるMのオフィスに来社して入社許諾書に印鑑とサインをしろと強引に迫ってくるのです。「不信感がありますので、入社日の問題が解決しないうちはサインできません」と担当者にいうと「僕があなたの立場でも同じ気持ちになると思います」と他人事みたいに言い放たれて呆れました。どうも先方のB社もMもずいぶん焦っており、そこを円滑に調整するのがMの仕事だと思うのですが、どうしてこんなに強引な真似ができるのか理解できません。

 このように、やたら決断をせかすのは「相手に考える時間を与えない」ためであり、ブラック企業やブラック会社斡旋所がやりがちな手だと勉強になりました。

 予想通り、入社したB社は最悪でした。ミニコミ誌のライターという当初の約束の業務内容と違うのは当然として、どういうわけか、派遣社員の女性の事務仕事も私がやることになり奴隷になった気分でした。 ある日、面接を担当した中年の女性に呼び出され、ちょっとしたミスについて長時間の説教を食らいました。その日を境に彼女と同期の女性たちに連日こっぴどく叱られるようになりました。ミスとは関係ない業務で彼女らに質問をしても怒鳴り散らされ「自分がいかに意識の高い社員であるか、情熱を持って仕事に取り組んでいるか」というご立派なご講釈を書き連ねた長文メールをバンバン送られ、それに返信しないと書類をヒステリックに投げて寄越されるため、たまったものではありませんでした。完全に「指導」の範囲を超えています。お陰で自分の受け持ち業務が進まない上に、理由をつけては帰ってしまう彼女らに押し付けられた分や雑用もこなさなければならないため毎日山のような残業を抱えました(当然サービス残業)。とどめは直属の上司に「たった一度のミスでこれまで築いてきた信頼が全てパァになった」と言われ、堪えていた我慢が限界に達しました。

 B社は確かに畑違いな私にとって最初は興味のない会社でしたが、入社後は私なりにB社の一員として1日でも早く役に立とうと努力しました。その気持ちすら全否定され、悔しくて休憩中に近くのコンビニに駆け込んで買ったボックスティッシュを全部使い切るくらい泣きました。Mの担当者にB社の仕打ちを伝えても、何度オフィスに足を運んで窮状を訴えてもいつも通り言いくるめられるだけで、まともに取り合ってもらえませんでした。

 私は心も身体も壊して、最後は会社に通うのが嫌で、電車に飛び込もうとしました。

 家族の協力もあって、どうにかこうにか電車に飛び込む前に退社できた私の元に、ある日Mの担当者から電話がかかってきました。それが満身創痍の私をさらなる絶望に突き落としました。

 電話口で彼は謝罪の一言もなく「辞めてからも自分があなたの転職をバックアップすると約束したことを、B社に言わないでください」と震えた声で迫ってきました。つまり、以前私がB社のハラスメントについて相談した際、MがB社に黙って私に他企業を紹介すると約束した二枚舌がバレたら、大変なことになると焦って私に口封じを仕掛けたのです。いかにMの社員は保身しか考えてない証拠です。

 見方を変えれば、こうして回転数を増やして企業から仲介手数料をせしめていたのですね。紹介すればするほど、Mの懐は潤うわけですから、考えたものです。
ですが、これでは求職者だけでなく企業にとっても幸せな出会いとは言えません。

 何はともあれ、Mがもっと早くB社と私の間に入って調整していれば、こんな最悪な結末にならなかった。私をB社に売って200万円ほどのお金をもらっておきながら、あまりにも対応が不誠実。ノルマを達成するのに必死なのはわかりますが、利用者を無理やりミスマッチな会社にぶち込むなんて、奴隷商人と変わりありません。まるで令和の人身売買ですね。

 調べたところ、B社は上層部のゴタゴタのため1年間で社員の7割以上が退職していた超絶ブラック企業でした。M社に問い詰めると知らなかったという驚きの返答でした。このように、ろくに会社の素性を調べもしないで人を騙してねじ込むのがMの実態です。B社は当時は某大手うどん屋チェーンの系列下で、親会社からの投資を「うどん粉でできた打ち出の小槌」みたいに振りまくり、金払いだけはやたら良かったのは覚えてます(コロナ禍を理由に系列から追い出されてしまいましたが)。

 お金払ってくれる会社ならどこでも紹介するみたいですよ、呆れた会社ですねMは。

 もちろん、こんなコンプライアンスもクソもない会社を斡旋したMにはクレームを入れました。どうせ意味ないとは思いましたが退会時のアンケートフォームに全てのいきさつを書きました。Mには書類も通さないダミーの求人とB社のように金にものをいわせたお得意様との繋がりしかないと予想し、たとえ会員を継続してもまた似たような超絶ブラック企業ばかり押し付けられることも目に見えてましたから以下の捨て台詞を叩きつけて退会しました。

 「もっとちゃんと仕事してください」

 もっと、もっと。

 実際に私がMの担当者とB社に何度も言われ、自尊心を傷つけられてきた呪いの言葉です。それを最後にお返ししました。

 もし、この話を読んだ今でもなお表参道にあるマスコミ専門の転職エージェントMを利用したいなどと不毛なことを思っているのであれば「命が惜しければやめておけ」とご忠告いたします。


 註 いま思えば、Mはお得意様であるB社に忖度し、B社が目をつけていた私がよその会社に行かないよう、いくら他社に応募しても書類も通さずに不採用扱いにしていたのではないかと疑っています。

 この勘はクチコミサイト「みん評」に最近新しく寄せられた書き込みを読んで、確信に変わりました。以下に引用します。


  無能 2023.04.23
   ここを通して応募するとほぼ全落ちした。ところが、Mですでに応募した同
  じ企業に企業HPから直接応募したら書類がバンバン通って内定も出まくっ
  た。
   
こんなところに頼らずに最初から自分を信じればよかった。今では、どんな
  企業が求人出してんのかな〜とサイトをチェックするだけのために使ってる。
  ここから応募は二度としない。時間の無駄。

  意味わからん! 2024.01.12
   ここで応募しても全部書類落ちする!
  でも他のサイトの求人で応募すると、すんなり通る。
  意味わからん!!!!
  だれか裏で操作してるんじゃないかと疑うレベル!

  みんな必死で転職活動してるのに、書類すら通らない。
  モチベーション下がって自己肯定下がるだけなので皆さん使うの辞めましょ
  う。
  自力で探した方が良い!

 やはりMは恣意的に書類を却下していた疑惑が濃厚です。
 
こんなの、彼らみたいな勇敢な人たちが確かめればすぐバレるのに、何でするか
な〜……
 また、書き込みから察するに、数年経った今でもMの歪な奴隷商人体質は残念ながら改善されていないようです。これは誠に遺憾でした。

 テレビで見ない日はないくらい頻繁に流れる転職エージェントのCM。
ここまで悪質なエージェントは他にないと信じたいですが……
流石に国が法整備を進めて悪質すぎる転職エージェントを取り締まるべきではないでしょうか? 
日本は本当に法治国家なのか、放置国家の間違いじゃないかと呆れます。

 私はMに人生を壊された被害者をこれ以上増やさないために、場合によっては各種公官庁への情報提供も厭わず、ジャーナリストとしてこの悪質転職エージェント問題を提起し、引き続き注視していきたいと思います。


☆カクヨムもやってます。


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