【SS】代用うんこ|#爪毛の挑戦状
トイレの開発には、洗浄力を試すため、必ず代用うんこが使われる。
その昔、味噌やピーナッツバターが使用されたそうだ。しかし、水分72%、脂質5%、有機無機物23%の本物の成分とはかなり異なるらしい。粘度の状態も便秘から下痢までを網羅せねばならず、トイレ開発の前に、代用うんこ(と小水)の開発が必要となる。
そこで俺は、代用うんこ研究の担当となった。先任の研究員は、あまりの過酷さに耐えきれず退職したという。何がどう過酷だったのかは、残された資料から読み解く他はない。
俺は研究を引き継いだ。代用を作るにあたっての、本物のデータの採取。本物には"臭い"がついてくるし、病原菌入りのリスクも計り知れない。俺はまず、消臭化と無菌化の技術を開発した。これは研究の副産物として特許化。更に研究を重ねて、世界に誇れる代用うんこを作り上げた。
俺は退職した先輩に開発完了を知らせた。
「確かに過酷な状況でしたよ。辞めたくなる気持ち、わかります。」
「いや、研究は自分も好きだった。ただ、この仕事をしていると、結婚というか、彼女ができなくってな…」
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新年初の『爪毛の挑戦状』は、
新追加お題に挑戦しました。(追×9 )
こんな感じで本年も宜しくお願いいたします。
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