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自由と自治を満喫しすぎやねん

夏休み合宿報告 ↓↓

夏休み合宿報告・③

全員揃うまでは食べ始めちゃダメ。揃ったら「手を合わせて下さい。いただきます!」と合唱

これがいわゆる合宿での風景です。日本で行われる育成年代の合宿のうちたぶん99%がこれですが、前回までのレポートでも記したとおり今回は「全てが自由時間」なので、食事に至るまでの過ごし方もそれぞれがフリー。

「19時から食べ始められるからね」とだけ伝えておいて、あとはそれぞれのリズムがあるだろうし風呂にもゆっくり入りたいだろうし洗濯を先にしちゃいたいという人もいるだろうから、そこは各々に任せました。

放置して「好き勝手にさせる」のではなく、信頼して「任せる」んです。この違いはとても大きい。
信頼して任せた結果、時間にバラつきはあったもののちゃんと全員がある程度の時間に全員揃い食堂にいるということになりました。
これが自然ですよね。無理に時間に縛られず周りに無理に合わせることもなく、リラックスして、美味しく食べてほしいものです。

夕食も終了。その後は一番広い部屋に皆で集まってもらって、少しだけ話とその後はチームビルディングのゲームを。

「真面目な話は5分で終わらせるから。話が長いなと思ったら左手首(腕時計)をパンパン叩くポーズをして伝えてくれ」と言って話し始めたら、あいつらたぶん1分くらいでパンパンし始めやがりました。ツラい。

パンパン攻撃にも耐えながら何を話したかと言えば、ここでようやく「ハイレベルな自治」の話を。
全て大人に管理されて時間にも管理されて、言われた通りに動くのか、それとも
自分たちで考えて判断して、やるべきことはやる、見つけたら率先してやる、時間も自分たちでコーディネートして自分たちが主体となって動く「自治」をするのか。

これはどっちが楽でどっちが厳しいか。一見、自由に動ける後者の方が楽に見えるけれどそれは真逆で、後者の方が断然厳しいよと。
そしてこれはサッカーにもそのまま繋がる話。

というわけで
ただ自治をするのではなく「ハイレベルな自治」を目指してやってくれよ、頼むぜ!」ということで、腕をパンパンパンパンされながら話は終了。

「結局15分くらい話してた」とクレームが至るところから入りました。話の自治ができないコーチで申し訳ない。

長い話の後はチームビルディングの意味で「これは何のランキングでしょう?」ゲームを。

2チームに分かれ、それぞれが内緒でお題を決めてそのお題に沿って順番通りに並び、これは何のランキングでしょう、と。相手チームがそれを当てる、というものです。お互いを見る、見抜く、知るというきっかけにもなるし、ただただワイワイやれるので楽しいし。

楽しかったですね。初日の夜はそんなこんなで全行程が終了。
さぁ、明日に備えてゆっくり寝てねお休みなさい

・・・

なんてなるわけもなく。ここからが本当の始まりでした。
まぁ寝ないですよね。合宿は夜が楽しい。
部屋の移動は当たり前、お菓子も食べる、コーラも飲む。アイスも食べる。

どこかの部屋では「人狼」が始まって、どこかの部屋からは「Party Party!」と陽気な大勢の歌声が聴こえてきた。nativeな美しい発音でした。
ハワイに一番近い宿で、それぞれのパーリーが始まった。

コーチ部屋は常にオープンにしていたのでどかどか勝手に入ってくるし、僕と日吉コーチがこれから楽しみに食べようとしていたテーブルの上のお菓子も勝手に食べてるし。まぁそういうところで普段話せないようなサッカーに関係ない話をゆっくりふざけながらできるのも、合宿の楽しみでもあるし貴重な時間でもあるわけです。

話をするわけでもなくただ黙って入ってきてただお菓子だけ取ってただ去っていく、という可愛げのない人も多数いたのだが。

深夜0時も過ぎたけれど、まだほとんどの子が起きてる。パーリーは続いている。気づいたら、誰かたちがボール持って外の道でサッカーしようとしていた
(実際してた)
「さすがにそれはやめて」とお願いして部屋の中に入れました。

「ご飯残したからお腹すいた!カップラーメン食べる」
と言って外の自販機でカップラーメン買ってきて「お箸がない。コーチ、どこかからお箸もらってきて」と失礼なお願いをされたので
「ふざけるな。そんなのは自分で考えろ!」と言おうと思ったけれどもちろん怖くて言えないので、わざわざ本館に行ってお箸もらってきてあげました。やさしい。
そして奴らはコーチ部屋で美味しそうにカップラーメンを食べてました。
健康には悪いけれど、夜中のカップラーメンて美味いよねぇ。
きっと家では夜中にカップラーメンなんて食べさせてもらえないでしょう。だからこういう非日常も合宿ならでは。きっとうちだけだけど。これもまた良しです。

「いい加減にしろ!遊びに来たんじゃないんだぞ!明日のことを考えて早く寝ろ!」なんてフザけたことは言いません。こういうこと言う大人は子どもを信頼していないフザけた大人です。
全ては彼女たちの自治によるもの。これで次の日本当に動けなくなったとしても、それはそれでいい経験。自らの実体験を経ないと、本当に知っていくことはできない。

寝坊して朝ごはんを食べられない子もきっといる。それで午前中はきっと動けない。倒れるかも。そうなったらこちらがしっかりと救護してあげればいいだけで、それも想像しながら僕らは彼女たちが繰り広げる陽気なパーリーを眺めていました。

深夜1時も過ぎ。合宿初日はテンションが上がって眠れないのはよくあることだけど、まさかここまで寝ないとは。というか、ここまで自由にハイテンションに盛り上がるとは。
完全に想像を超えてましたね。だからこちらは怒ることもないしむしろ歓迎、呆れることもない。

ただ、翌日どうなるかが楽しみで仕方なかった。これで朝ごはんに全員揃ったらそれはそれでこいつらすげぇぞ、と思いながら。
気づいたら、いつのまにかわれわれコーチ陣が先に寝落ちしてました。

【 2日目 】

前夜あれだけ夜更かししてParty timeを繰り広げていたので半数以上は寝坊して朝ごはんの時間にも起きてこないんじゃないかと危惧していたのだけれど、前夜の夕食と同じく、時間にばらつきはあれど朝食には全員が揃ってました。

午前中のトレーニングのためグランドに移動しても、初日とは違ってドリンクの準備や荷物運びなど、こちらがお願いしなくても率先してやってる姿が多数。
「ハイレベルな自治」がさっそく機能しはじめてる。

午前中のトレーニングはほぼ日吉コーチに任せたのだけれど、その最後のゲームでも、こちらの心配をヨソにそして前夜のハジけぶりから来る気だるさや疲労などもなく、ゲームの入りが最初からとても良かったんです。

こういうのを言葉で表すのは抽象的で難しいのだけれど、ピッチ上での雰囲気が、とにかくとても良かったんですよね。

雰囲気だけでなく実際のプレーの部分でも、味方同士の繋がりが増え、味方を信用してボールを渡せるプレーも増え、ゆえにボールが小気味よく動くようになってる。それでいてちゃんと熱もある。最高です。

あれだけ深夜までパーリーしてた人たちの姿では間違いなくなかった。その雰囲気と内容があまりにも予想以上に良かったので、嬉しくなって思わずライブ配信を始めてしまったほどでした。

ちゃんと自分たちでわきまえて、自治をしてのこの姿。ハジけ過ぎた自由も思う存分満喫した上で、メリハリもつけてちゃんとフットボーラーしてる。それぞれが意思と意図を持ってこの合宿に来てるんだなということが伝わってくる、そんな午前中の姿でした。
合間に大人に水をぶっかける失礼さにも、ますます磨きがかかっておりました。

昼は宿に帰ってあったかいカレーライスを食べて、昼寝も含みゆっくり休んでから、また午後にグランドへ。

シエスタの後なので眠いだろうしさすがに疲れも溜まってきているだろうな、動きも鈍くなるのは仕方ない、、なんて思っていたら、トレーニング開始前の自由時間では多くの子がさっそくボールを蹴って準備してました。
この自由時間の自主練の姿は、この合宿を通して一番と言っていいくらいにとても印象に残ってます。

眠気を覚まさせたいのと笑いを生み出したいのでまずはリレー形式のゲームを。

これはボールを1人で5個抱えて走って帰ってくるというごく単純なリレーなのだけど、5個持つのは大変だから途中できっと落とします。そしたらすぐに味方が拾いに行ってあげてまた持たせてあげる。次の人への受け渡しもみんなで協力して、、と、サッカーに必要な要素が組み込まれてるゲーム。味方のミスは味方が拾ってあげる。チームワークとはそういうものです。

そのゲームの後、みんなを集めてこう話しました。
「本当はこの後に昨日の続きで技術的なトレーニングをやろうと思っていたんだけど、さっきのみんなの自主練の姿を見て、それやるのやめた」

「もうみんなを信じるから。もうしつこく切り取った練習をしなくても、それぞれがゲームの中で意識して練習してくれると信じるから。だからもうさっそくゲームしようぜ」と。彼女たちが示してくれた意思と自治に、こちらも腹を括ったのでした。

信頼すれば必ず返してくれる。選手とはそういうものです。もちろん波もエラーもいろいろたくさんあるけれど、それでも、信頼することでしか選手は羽ばたいてくれないんですよね。

一番疲れが出て一番体も心も重くなるのが当たり前の2日目午後なのに、前日よりも午前中よりも、それ以前に過去のどの練習日よりも素晴らしいゲームの内容。

真夏のアップデート大作戦、なんて自分だけで勝手に銘打ってましたが、見事にアップデートしてくれている姿がそこにはありました。

味方を信用すること、味方をサポートすること、意思を持ってボールを受け、持ち、意図を持って離す。そして何より大切な情熱も。
時間が進むほどにそれは増していって、最後のゲームは止めるのがもったいなくて40分ぶっ通しでやったほど。

人がそれぞれの殻を破る音は決して聞こえないものだけれど、きっとピッチの至るところでバキバキ!っといろんな殻が破れてた。そんなゲームをしてくれました。あれだけパーリーしてた人たちが、です(しつこい)

グランドからの帰り
「コンビニ寄ってほしい」(多数)
夕食前なのに唐揚げ食べてた。まぁ許す。

夜は海岸まで花火に出かけ、部屋に戻ってアイス&お菓子パーティーをして、さぁ今夜こそあいつら早く寝るだろう、さすがに疲れもあるだろうしバタンキューだよな、と安心していました。

・・・

まぁそうはならないですよね。ほぼ前夜と同じレベルでのパーリータイムがまたあちこちの部屋で繰り広げられておりました。あいつらなんやねん(褒めてる)

続き↓↓
合宿報告・最終回 〜 自由の海に飛び込んだ


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