なぜ婚活についてやるのかというと

最近、婚活とか「モテ服」についての記事をこちらに書いていて、なぜ私がやっているのかと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょうから、少し説明したいと思います。

皆様もご存じのように、私の基本方針は「好きなものを着ればよい」です。誰かがあなたはこれが似合う、似合わないとか言うのは無視してよし、自己表現のひとつとして服を着ればいいという考えです。

その考えからすると、婚活とか恋活とか、ましてや「モテ」とかについて教えるなんて矛盾しているのではないかと思われると思います。けれども、私の中では整合性があるのです。

私がなぜ皆さんにファッションレッスンをしたり、ブログでいろいろなことを教え始めたかというと、「困っている人を助けるため」です。

雑誌を見れば、あれを買え、これを買えとあおられます。ダサいだ、遅れているのだ、さまざまな批判の文言が並びます。それでみんな困っています。

どうやったらおしゃれに見えるかなんか教わってないし、ワードローブのそろえ方もわからない、ましてや自由に使えるお金なんてたくさんない日本の女性たちは本当に困ってしまったと思うのです。

一方、洋服を作る側の人間、特に弱い立場の女性や下請け工場の人、外国の下請け工場の従業員なども、ひどいことになっています。日本のアパレル会社の多くは、残業代など出さないようなブラック企業です(ちゃんとしたところももちろんあります)。毎年毎年、大量の働く人が辞めるので、ファッション学校の卒業生も大量にいます。

また、2013年4月のバングラディッシュのラナ・プラザの崩落事故のように、劣悪な環境で働いているアパレル工場の従業員が死亡したり、けがをしたりしています。日本でも、世界でも、アパレル産業で働く弱い人は大変なことになっています。

そうしたとき、この両方を助けるためには、ファッションに関する知識を広く知らしめる必要があると私は考えます。おしゃれに見える方法とたくさん服を持つことは違うことや、いいものを長く大事に着ることなど、お金がかからず、かつおしゃれに見える方法がわかれば、そのどちらでも助かる人が出てきます。知識は人を助けます。

では、なぜ婚活恋活なのか、ということです。
一言でいえば、困っている人がいるからです。

うちにも地方から来るクライアントさんが結構いらっしゃいます。その方たちの話を聞いて驚きました。地方だと、正社員でも手取りが14万円などざらで、しかも40過ぎると給料は上がらないと、だから女性は結婚しないと生きていけないと言うのです。

中には、結婚は無理なので、43歳から新たに看護学校に入り直したクライアントさんもいました。看護師だったら、どこの地方にも仕事があるし、年齢に関係なく働けるからです。

地方の人だけではありません。非正規で働く東京の一人暮らしの女性も、高度な技能の専門職でもない限り、結婚しないで生きていくのは非常に大変です。

残念ながら、日本はまだまだそんな国です。女性の給料は結婚していることを前提とし、生活の補助的なものとして抑えられています。公務員や英語で仕事ができる人、専門職の人以外では、男性並みのお給料をもらえる女性はごくわずかです。

好きなものを着ればいいなんて、ある程度余裕のある人にしかできないことです。それはそのとおりです。

結婚しなければ生きていけないという現実があるとき、例えば着るものを少し工夫したぐらいでうまくいくのなら、そしてその方法を私が知っているのなら、それは教えなければなりません。なぜならそれを教えることにより、結婚して生活できる人がふえる、つまり助かる人がいるからです。人生を詰まなくてすみます。

おしゃれなんて、生活ができてからです。

働かないと生きていけないのと同様に、結婚しないと生活できない。だったら、就職活動を支援するのと同じ意味で結婚するための活動をサポートする。それが女性を助けることにつながります。

男女雇用機会均等法が施行され30年余り。職場における男女平等は進まないどころか、非正規の出現により後退しているようにも見えます。

男女平等が実現し、男性と同じ収入が得られる日まで、私たちは待つことができません。きっとそれが実現するのは私たちが死んだあとです。

そんなわけで、私が婚活やモテについて知っているなら、それは教えます。そして、困っている人が一人でも減るならば、それでいいと思っています。

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