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高濃度のナイアシンが心臓病に関連

高濃度のナイアシン(ビタミンB3)は心臓病と関連があり、過剰なナイアシンが新たに発見された経路を通じて、炎症や心血管疾患を引き起こすようだ、という米国クリーブランド・クリニックからの研究報告。

スタンリー・ヘイゼン(Stanley Hazen)博士率いる研究者らは、ナイアシンの過剰摂取による代謝産物である4PYと心疾患の関連を発見した。大規模な臨床研究で、4PYの高い循環レベルが心筋梗塞、脳卒中などの心臓イベントの発症と強く関連していることが示された。また、前臨床研究では4PYが血管の炎症を直接引き起こし、時間とともに動脈硬化を引き起こす可能性があることが示された。

この研究は、4PYと血管の炎症との間の遺伝的な関連も詳述しており、炎症を減少または予防するための新たな介入や治療法の基盤を提供している。

ナイアシン(ビタミンB3)は西洋食に非常に一般的である。何十年もの間、米国を含む50か国以上が、栄養不足に関連する疾患を予防するために、小麦粉、シリアル、オーツ麦などの主食品にナイアシンを強化することを義務付けてきた。しかし、研究者らによれば患者群の4分の1は過剰に摂取しており、これが心血管疾患の発症に寄与しているようだという。

ヘイゼン博士は、ナイアシンの摂取を、バケツに水を注ぐ複数の蛇口に例えている。バケツがいっぱいになると、溢れ始める。その溢れた部分を体が処理し、4PYを含む他の代謝産物を生成する。

ヘイゼン博士は、ナイアシンの摂取全体をカットすることは解決策ではないと指摘する。だが、これらの発見を踏まえ、米国における小麦粉やシリアルへのナイアシン強化の継続的な義務付けについて議論する必要があるかもしれないと述べている。

また、抗加齢を目的としたナイアシンを含む市販のサプリメントの広範な使用も増えている。ヘイゼン博士は、患者は市販のサプリメントを摂取する前に医師に相談し、過剰な炭水化物を避けながら果物や野菜を豊富に含む食事に重点を置くべきだとしている。

また、ナイアシンがもはやコレステロール低下治療の主流でない理由も、新たな発見によって説明されるかもしれないという。ナイアシンはかつて「悪玉」コレステロールを下げる最初の治療法の一つだったが、最終的に他のコレステロール低下薬より効果が低く、先行研究では他の負の効果や死亡率の上昇と関連することが報告されていた。

ヘイゼン博士は、「ナイアシンの効果は常に矛盾しているように見えました」と述べている。「ナイアシンによるコレステロール低下にもかかわらず、臨床的な利益はLDL低下の程度に基づいて予想されるよりも常に少なかったのです。これにより、過剰なナイアシンが明確でない有害な影響を引き起こし、LDL低下の利益を部分的に相殺するという考えが生まれました。私たちの発見は、この矛盾を説明するのに役立つと考えています。」

研究著者らは、慢性的な4PYレベルの上昇が動脈硬化や他の表現型に及ぼす影響を評価するためには、長期的な調査が必要であると指摘している。

出典は『Nature Medicine


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