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栄養不良の子供の腸内細菌は治療食の重要な要素から恩恵を受ける

栄養不良の子供のために開発された治療食の、主要な天然性化学成分とそれらを代謝する重要な細菌株を同定した、という米国ワシントン大学からの研究報告。

MDCF-2 (マイクロバイオーム指向補完食品) 治療食は、子供の 1 日に必要なエネルギーの約 20% を補う栄養補助食品であり、栄養不良児に標準的治療用食品よりも効果があることがランダム化対照試験で示されている。 MDCF-2 の成分には、ひよこ豆粉、大豆粉、ピーナッツペースト、マッシュしたグリーンバナナの果肉が含まれていて、ガラクタンやマンナンとして知られる多糖類がより多く含まれる。

今回研究チームは、MDCF-2 療法食の主要な天然生化学成分と、これらの成分を代謝する重要な細菌株を同定した。

「私たちは、マイクロバイオームに関係する食品の生理活性要素を特定しました」と研究者は述べている。「これらは天然に存在する炭水化物構造であり、理論上は食品製造の副産物の流れから大量に回収でき、プレバイオティクスの製造に使用できる可能性があります。」

さらに研究チームは、Prevotella copri という細菌株が子供の成長の増加と正の相関があることを明らかにした。この微生物は、MDCF-2 治療食に含まれる有益な生理活性炭水化物構造を利用する代謝経路の活性の増加に寄与している。

従来の治療食を摂取した子供たちと比較して、MDCF-2を摂取した子供たちは、筋骨格の成長と神経発達をサポートする特定のタンパク質の血中濃度が高く、炎症に関与するタンパク質の濃度が低かった。これは、マイクロバイオーム修復の効果が腸壁をはるかに超えて広がっていることを示している。

「私たちはこれらの子供たちの糞便サンプルの大規模なゲノム分析を実施しました」と研究者は述べている。「私たちは、これらの食品成分に反応する細菌の正体と、これらの細菌が有し、治療に応じて発現する代謝能力を知りました。子供の成長に強く関係する細菌の多くには、炭水化物代謝の経路が豊富に含まれていることが判明しました。」

「今後東アフリカ、西アフリカ、南アジアで行われるMDCF-2の臨床試験では生後6か月から24か月までの栄養不良の子供たちを対象に、MDCF-2の有効性の一般化可能性がテストされる予定である」と研究者はコメントしている。

出典は『ネイチャー


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