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窓際サラリーマンのサバイバル農業31-フィッシュ&チップス ジャガイモ-

第一節


 種イモが全滅! ちょっこり出ていた緑色の芽も黒ずんで、本体もブヨブヨ。おまけに汁まで流れ出している。浴光育芽の失敗だ。
 イギリスを代表する料理 フィッシュアンドチップス。盛り付ける皿に載せるジャガイモの前哨戦作業に精を出していた。
 実際を言えば、浴光育芽といわれる種イモの芽出しはさほど必要ではない。種イモ一律に発芽が揃い、その後の生育もよいとのことで取り組んでいたことだ。昼間、種イモを日光浴させ夜は冷えるので取り込む。ただ、それを二週間ほど繰り返すのみ。
 秋ジャガの植え付け適期は八月下旬から九月上旬と言われるが、2023年の今年は九月上旬でもまだまだ残暑が厳しく感じられた。日中は30℃を超える日もザラ。光に当てればよいと、単純に考え過ぎのケアレスミスだ。ちなみに発芽適温である15~20℃の時期に、この日光浴を繰り返せばよいらしい。
 まあ、仕方ない。種イモの買い直しだ。
 品種は秋ジャガの定番、デジマ。食味も良く、煮もの揚げものどんな料理にも使える定番品種だ。それでは早速、土作り。
 
 連作障害はある。立て続けに同じ場所での栽培は出来ない。三年は間隔を空けること。かつ、排水性のよい土壌。
 石灰は入れない。酸性の土を好むから。そして、元肥。鶏糞を窒素8g:リン酸16g:カリウム16g/㎡になるよう大まかに投入し撹拌。最後に畝立ては、幅70㎝・株間50㎝に設定してみた。
 土を寝かせて二週間後、植え付けだ。種イモ一個が子供の拳くらいの小さなものならば、切らずにそのまま植える。大人の拳くらいの大きさになると、芽を出している面を上にして半分に切って植える。切った場合ひと手間加えるならば、草木灰を切り口に付けて乾かしてから植えると、切り口の腐敗を防ぐ。
 深さ10㎝ほど。植え付けを終えたのは九月下旬のことだった。
 
 かくしてチップスは何とか確保できそうだ。次にフィッシュの調達だ。
 白身魚といえば何だろう……。タラ? カレイ? キス? 秋が旬で初心者でも獲りやすいもの――そうだ、ハゼだ。ジャガイモの収穫を迎える前に捕獲だ!
 長らく押し入れにしまい込んでいた釣りセットを引っ張り出し、近くの汽水域へレッツゴー。
 先ずは潮目を読んでから。潮の干満だ。概して言えることは、満潮時によく釣れて干潮になると釣果が鈍くなる。理由はエサを狙う魚の習性で、満潮になるとエサが岸壁近くの浅場に浮遊してくるので魚も岸に近づいて来る。チャーター船釣りできないビンボー陸っぱりの鉄則だ。
 仕掛けは市販のキス・カレイ用のものに、おもりを付けてリールで投げ込むだけ。エサはゴカイを通し刺しだ。
 粘ること三時間。
 結果は六匹の残念賞。仕掛けや餌代の方が高くついたが、まあボウズよりはマシか……。
 獲ったハゼは内臓を出したりヌメリを取ったりせず、そのままジッパー付きポリ袋に密封して冷凍保存。案外このように下処理をしない方が鮮度を保てる魚もある。
 これで自給自足版、フィッシュアンドチップスが展開できそうだ。

浴光育芽失敗
種屋で購入のイモはやはりモノがいい
ハゼを調達。白身魚で江戸時代は高級魚とのこと。仕掛けとエサのゴカイ
釣果は3時間で6匹のボウズよりはマシレベル
ジャガ収穫時に揚げるため、下処理しないで冷凍保存

第二節


 種イモ植え付け30日後。
 畑のメンテナンスにも抜かりなく精を出す。芽が5㎝程度に伸びてきたころの芽かき・土寄せ・追肥作業だ。
 まずは、芽かき。硬くて元気な芽を二、三本残し、あとは間引く。芽かきをしないと養分が分散してしまい、大きなイモが育たないためだ。種イモが動かないよう土の上から押さえ付け、根元から引き抜く。
 次に土寄せ。根が成長してイモっころになるよう思えるジャガイモは、実際のところ、茎が大きくなったもの。なので種イモより上に成り、土中から露出してしまう傾向がある。地表に出て日光に当たってしまうと、有害物質のソラニンが生成され緑化してしまうので好ましくない。そのため、芽かきと同時期に株元へやんわりと土を寄せる。
 最後に追肥として8:8:8の標準化成肥料を30g/㎡撒いてみる。
 
 これで中間作業は完了。
 あとは12月、葉が黄変してきたらいよいよ収穫だ。

ジャガイモ植え付け30日後
芽かき。芽が5㎝ほどに伸びてきたら、元気な芽を2~3本残し、残りの芽を種芋が動かないよう引き抜く
土寄せ。芽かきと同時に行う。成るイモは地表に出やすく、日光に当たると毒素を生成して緑化するので株元に土を寄せる
追肥。芽かき・土寄せと同時に。確実に効くよう半液肥化してみた


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