新貨幣のデザインについてちょっと考えてみた

新紙幣のデザインについてちょっと考えてみた

つい最近知った豆知識なのですが、お札は20年に一回刷新されるそうです。偽札造り防止のためだそうなのですが、伊勢生まれの私としては伊勢神宮の式年遷宮っぽくってちょっとワクワクします。

さて、新しいお札のデザインが発表されて、Twitterがざわざわしている今日この頃。かく言う私も「なんで一万円札と千円札の”1”のフォントが違うねん……」などデザイン方面から新紙幣について色々と考えていました。

ただ、違うには何かしらの理由があるのだろうと思って、財務省のプレスリリースを読んでみました。(※今回使用した画像も、財務省のプレスリリースの方から引用させていただいております。)

すると、ユニバーサルデザインについて色々と書かれていて「あ、なるほどな」といろんな発見がありました。

(2)ユニバーサルデザイン(券種間の識別性向上等)
   ・指の感触により識別できるマークの形状変更及び券種毎の配置変更
   ・額面数字の大型化(表・裏)
   ・「ホログラム」及び「すき入れ」位置を券種毎に変更
   などを予定しています。

私の場合、『フォントの違い』や『文字の先頭が並んだ時に揃っていない』などのデザイン上の問題に先に目が向いていたのですが、「実際に使うユーザーのことを考えたデザインにしようとしていたんだなぁ」と思いました。自分の視野の狭さに反省ですね。ただ、反省すると同時にふと「じゃあ実際にどんな風に見えるのかな?」と気になって、IllustratorやPhotoshopを使ってできる範囲内で色々と試してみました。


1. まずは比較から

こうやって見てみると、新しい紙幣の方が色が明るい気がします。あと今までのお札は結構、金額部分が小さかったんですね。デザインとしては、現行紙幣の方が個人的には好みですが、ユニバーサルデザインから考えると新紙幣の方が色んな人に対して優しいデザインになっているのがよく分かります。
金額の文字も大きいですし、表面は記載場所が紙幣によって異なるので判別しやすいようになっています。透かしも新紙幣の方が形のバリエーションが豊富なので、それぞれのお札の区別がより明確化していますね。あと新紙幣は、透かし部分が5千円札だけ左右に振っていたり、千円札だけ帯がなかったりと分かりやすさの点から考えるといいですね。


2. 色覚異常

さて、ではまずは、色覚異常の方には現段階のデザインで紙幣がどんな風に見えているのかを見てみました。少し前に、ユニバーサルデザインについて記事を書いた際に、IllustratorにはP型強度(赤い光を感じるL錐体がない人)とD型強度(緑の光を感じるM錐体がない人)の方の視野を擬似的に確認できるツールがあることを紹介したのですが、その機能を使ってみました。

一万円札は他と比べて色がはっきり違うのでわかりやすいですね。5千円札と千円札はほとんど色には違いがありませんが、千円札の方が紙幣の縦中央部分の色が黄色味がかって見えるので、お札を財布から出す際に分かりやすいかも……?と言う程度でしょうか。ただ、千円札は裏面の金額部分が他と比べて若干濃いようにも見えるので、そこで判別できるかもしれませんね。


3. ロービジョン

ロービジョン(弱視)の方の視野を擬似的に体験できるデザインツールを私は見つけることができなっかたので、Photoshopで『虹彩絞りぼかし』と『ぼかしツール』を使用して作ってみました。これが果たして正しいのかどうかは、微妙なところですがいろんなサイトを参考にして作ってみました。

「こんな風に見えているのではないだろうか?」と思って作ってみたものがこちらになります。こうやって並べてみると、新しいお札は色での判別がとてもしやすいですね。あとやっぱり透かしの位置が違うのもいいですね。5千円札とその他のお金と判別することがとてもやりやすいです。


4. まとめ

ユニバーサルデザインなど色んな方向から物事を見てみると、非常にたくさんの要素を含んでいて面白いなぁといつも思います。面白さや興味深さを抱くのと同時に、職業柄かデザインに関わる話を考える度に「良いデザインとはなんだろう?」という大きな問いの前で悩むこともあります。今回の新紙幣はその「良いデザインとは何か?」について考えるとてもいい機会だったなぁと思いました。今後デザインをする際に、幅広い視野を持てるようになっていきたいですね。

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