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冷静にニュース読解

文部科学相より、一斉休校を要請しないという発表があった。どんな意味があるだろう。

全国の感染状況は均一ではない。
少なくとも緊急事態宣言が発出されている地域は、増やされたが、感染のステージは現時点で地域差がある。予防的措置としての一斉休校という考え方もあるが、学習の保障を選んだようだ。
離島、過疎地、郊外、都心など、地域によって人々の行動は異なる。満員電車で通学してくる高校生、自転車通学の高校生、徒歩圏内の小中学生、生徒たちの行動半径も異なる。学校と家庭の立地も、繁華街が通学途中にあるか、電車で1時間以上行かないと繁華街がない地域もあり、日本列島は地理的に多様だ。

大学入学共通テストは予定通りに実施する。
一斉休校を要請しないという意味は、共通テストの日程変更はしないということだろう。何らかの形で教育活動を継続していれば、日程変更をすべき理由はない。共通テストは一律に実施するということだ。

義務教育のオンライン授業は、全国共通のプラットフォームを整備すべきか。
ギガスクール構想により、一人一台端末が実現しつつある。オンライン授業は、双方向でない限り、一斉配信という教育の効率化が可能である。個別指導や相談は、オンラインの向こう側に教員がいる必要があるが、事前に収録された動画を視聴させて家庭で確認問題を解かせるといった対応であれば、共通のプラットフォームを利用できればありがたいと思う教員はいるだろう。
AIを活用した一人ひとりの学習到達度にあった教材を提示できるCAIプログラムもある。オンライン授業が一時凌ぎでやむを得ない休校期間中の代替措置とするなら問題はないのかもしれないが、教員が躊躇してしまうのは、評価をどうするのかという問題があるからだ。

オンライン授業と登校すべき日数
履修の認定をオンライン授業で代替できるのか。登校すべき日数と同じ扱いができるのか。オンライン授業への取り組みを成績評価するには、集団内で通信環境に差がないことが大事だ。到達度をテストで測るが、テストまでの学習に取り組む姿を間近で教員は見ていないので、つまずきが解消されないままテストを迎える生徒がいても、低評価をつけるだけで、見過ごしてしまう。オンライン授業は、コミュニケーションの乏しい知識偏重の教育となってしまう。そうなると、結局は点数だとなって、塾や予備校が進学の道を開くということになる。学校が役割を失わないように、コミュニケーションと評価の課題を解決する必要がある。

#日経COMEMO #NIKKEI

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