Lisboa

東京ではたらいている教員です。

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マガジン

  • 授業のしかた『公民科教育法』

    中学高校で学ぶ公民の授業について、実践的な授業づくりの方法を発信します。 わかりやすい授業を計画して、実践し、研究する先生方を応援します。 これから公民の授業をする実習生やすべての教員に読んでもらえる内容にしたいと思います。

  • きょうのきょういく

    日本の教育をできるだけ前提なしに、広く見渡したい。教育現場からそもそもを論じる哲学思考の随筆。

最近の記事

簡単にプラゴミを減らそうって言うけど

教室でエコやSDGsについて生徒に考えさせて、安易な結論を共有するのは、いかがなものかと思います。プラスチックの使用を減らせばいい。 レジ袋有料化のとき、ビニール袋業界は反対の声をあげた。プラスチックも産業だ。削減の動きは業界にとってマイナスだ。レジ袋有料化に続く流れはあるのだろうか? ペットボトルに課税してはどうか? ペットボトルのサイズでリサイクルのために税金を課せば、使用量や消費量が減らせる。ただし、ドリンクの消費量を減らしてしまうと、ドリンク業界が困る。もちろんペ

    • 協働的な学びって?

      仲間と一緒に前進することを体験させるのが協働的な学びです。 自分で前進できるときでも、敢えて仲間と一緒に取り組むことを選ぶ。 自力で全部しないのが協働です。 自分でやる方が楽なこともあります。 自分のアイデア100%でやり遂げれば、自分の手柄です。 自分の興味や嗜好で前進するのは楽しいです。 学校では班やグループ、チームをつくりますが、協働しないこともしばしばあります。 リーダーが率いる。リーダーについて行く。 リーダーを選んで、リーダーが決断してメンバーを引っ張るのは協

      • 地図は知識か

        スマホやカーナビが道案内をしてくれる。GPSが現在地をおしえてくれる。行きたいところを言うだけで、音声認識と自動運転車が目的地に連れて行ってくれる。 教員がよく言う。○○がどこにあるかも知らないなんて! 有名な国、有名な都市、旧国名、地名 検索すればわかる。覚えておく必要があるのだろうか。乗り換え案内もアプリに任せて問題はない。何通りかあるルートを提案してくれる。行く必要がない地名を知識として覚えさせる。これまでの社会科教育でやってきたことだ。 テストのための知識 人

        • 具体的に言うってどうするの

          生徒によく言うこと。もっと具体的に書いて! 具体的に考えないと前に進めない。具体的じゃないから意味が伝わらない。具体的に言わないと何が言いたいのかわからない。 具体的って何ですか。どうすれば具体的になりますか。 私は奥田健次さんの行動分析学の新書にあった説明が優れていると思い、よく使う。 具体的って動画で撮影できるってことだよ。 「うれしかった」は具体的じゃない。だって動画に撮れないよ。笑顔で飛び跳ねて手を叩いて喜んでいた。これなら動画に撮れるね。 「美味しかった」

        簡単にプラゴミを減らそうって言うけど

        マガジン

        • 授業のしかた『公民科教育法』
          47本
        • きょうのきょういく
          36本

        記事

          発問するなら初見にしよう

          高校での授業実践を綴っています。どんな授業でも欠かせないのが、教員からの発問です。問いかけて生徒が考える時間は大切です。一方的に知識を与える授業、ひたすら解説する授業は、主体性を引き出せない。 知識を与えて解説する。課題を与えて練習させる。例題を示して模範解答を見せる。 その問いは主体性を引き出せるか たった今与えた知識だけで解答できる課題 示された手順通り作業する課題 手順や知識を暗記できたかを試す課題 今与えたものだけを指示通り、例題と同様に作業して答えを導く課題

          発問するなら初見にしよう

          闘うキャベツ

          闘うキャベツ

          部活動指導の報酬って

          教員の働き方をブラックにしている原因の1つが部活動指導と言われる。専門の指導ができないのに受け持っている教員は多い。一方で、部活動顧問がやりたくて教員になった人もいる。教科指導は専門家として教員免許を持って指導する。だからといって、すべての教員を一律に扱うのは変だ。教員の働き方がブラックな理由は他にもあるから、論点が見えにくくなるが、部活動指導について整理したい。 教員の仕事は勤務時間で報酬が決められる職業ではない。デザイナーやクリエイターのように時給計算で報酬をもらわない

          部活動指導の報酬って

          生徒に発言させる指導スキル

          公民科の授業実践を綴っています。高校の授業をアクティブにしたいと思いますが、なかなか難しい。板書と解説ばかりになってしまう。 指名していきなり発言はムリ 先生に名前を呼ばれていきなり質問に答えるのは、ムリがある。生徒は基本的に答えを言えない。 考える時間を与えよう。いきなりはムリだ。アウトプットには時間がかかる。書かせてもよい。書かせてから発表させる方がハードルが低い。書けている生徒を指名することもできる。 そもそもみんなの前で何か言いたくない。 生徒が授業中に発言

          生徒に発言させる指導スキル

          授業で使えるテッパン発問

          高校公民科の授業実践を綴っています。教員向けに授業方法や授業内容について発信しています。 授業には発問が欠かせない。先生がひたすら説明する授業は、生徒の集中力がもたない。アウトプットを促す活動が必要だ。受け身で話を聞くだけでは、学習の定着もよくない。教員は生徒に問いかけよう。 教室には40人が集う。なるべく多くの生徒たちと対話的に進めたい。クイズのような正解を問う投げかけは一瞬で終了してしまう。もちろんなかなか正解が出ないタイプのクイズは盛り上がるので、クイズもありだ。

          授業で使えるテッパン発問

          基礎って何?

          教育現場では、基礎基本の定着が日々の課題である。 基礎ができないと、応用はできない。 孫泰蔵氏の著書『冒険の書』では、基礎神話と言われ、再考すべき点としてあげられている。 応用の前に修得するのが基礎だ。基礎を理解していなければ、応用はできない。学習する順序は決められている。いきなり応用に取り組むとどうなるのか。 わからないことにぶち当たる。わからないので調べる。辞書や先生、ネットや動画を頼る。そうすると少しわかる。この次に分岐点がある。 極めるのか、それとも少しでいい

          基礎って何?

          サイエンスを尊ばない日本

          日本の教育は現在、理科教育や科学的な探究学習に力を入れている。理系人口を増やしたい。人口減少時代において、国力を維持するためだ。科学技術立国として、多くのノーベル賞受賞者がいる日本だが、サイエンスを日本人は尊ばない。 論理的思考や論理的整合性を疎かにしているわけではない。苦手でもない。どこか現実と切り離して理解している。現実社会は計算通りには進まない。このことがやたら強調される。科学的知見は未来予測につながるが完璧ではない。だからといって役立たないと捨てる必要はない。科学捜

          サイエンスを尊ばない日本

          擬人化大好き日本

          ゆるキャラがいっぱいいる日本。マスコットキャラクターは、街中にあふれている。広告にも名もなきキャラクターがいっぱいいる。書類の余白にいらすとやが提供しているキャラクターは、よく見かける。ゆるキャラたちは、何かコンセントがあり、目鼻口と手足を授かり、キャラクターとして活動している。自然界の様々なものに魂や神が宿ると考える日本の思想を感じる。八百万の神 もちろん外国出身のキャラクターもいる。機関車トーマスは、日本的だ。 人間以外にも敬称をつけて呼ぶことがある。きつねさん、うさ

          擬人化大好き日本

          日本は国際交流後進国

          海外の学校と国際交流をして気づいたこと 日本の学校は国際交流をする準備ができていない。取ってつけた上部だけの場当たり的な交流、観光案内しかできない。最近は「開かれた教育を」と言われる。日本の学校はもともと開かれていない。そもそも国際交流の必要性を感じていない。英語の先生でも国際交流推進派とは限らない。定型の授業だけで十分忙しい。国際交流の趣旨はわかるけど、具現化に前のめりではない。 国際交流受け入れ体制チェック 当てはまる項目があるかセルフチェックしたい5項目 学校の近隣

          日本は国際交流後進国

          職員室の壁

          学校という組織には見えにくい仕切りがある。壁と言ってもいいと思う。チームワークを妨げる垣根だ。中学高校について考察したい。 事務室と職員室 第一の壁 事務と教員をひとまとめにした言い方が教職員だ。同じ学校という職場に勤めるが、同僚といっても別の部屋で、年中たくさん仕事の話をするが、意外と交流はない。ビジネスだけの付き合いだ。用務員や給食調理職員も似ている。教員と交流は少ない。例えば、忘年会を一緒にしない学校もある。公務員の場合は、教職と行政職員という区分があり、任用の違い

          職員室の壁

          定型を求める日本の文化

          決まった型が日本では好まれる。秩序の美や同調圧力と言われることもある。みんな同じことをすることを尊ぶ。 学校では号令をよく使う。全員起立、一同礼、校歌斉唱。みんなに同じことをさせる。タイミングを揃える。バラバラだとやり直すこともある。お辞儀の角度や速さも卒業式では揃える。賞状の授与は、誰もが同じ所作で行う。小さい頃から前に倣えを練習する。 最近までエスカレーターの片側を空けて乗ることが暗黙のルールだった。廃れつつあるが、バレンタインデーに義理チョコを贈ることも流行した。

          定型を求める日本の文化

          日本はアリバイ社会

          点検をしたらハンコを押す。日付とハンコがあれば立派な記録だ。トイレの清掃やフィルター点検、定期点検などよく見る日本のハンコ文化だ。IT化やDXが進んだ職場では過去のものかもしれないが、公的な文書を扱う部署では、ハンコ文化はまだある。ふと思う。 偽造は容易だ。   ハンコがあれば何か事実が存在するということになる。誰かが点検したとか、承認したという印だ。多くの詐欺事件で文書偽造は手段として使われてきた。もちろん、署名文化でも同様の事例はある。 コロナ対策というアリバイ 手

          日本はアリバイ社会