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『椿の庭』四季の移ろいと揺れ動く感情を日本家屋と庭、思い出を抱える人々の美しい映像を通して描く映画

写真家の上田義彦による初監督映画。古風な日本家屋とその庭の映像が美しい。日本のベテラン女優の富司純子と、韓国出身の人気俳優で日本映画『新聞記者』で主演を務めたシム・ウンギョンのダブル主演。鈴木京香や田辺誠一も出演し、台湾の俳優チャン・チェン(張震)が特別出演。

夫の四十九日を迎えた絹子は、思い出の詰まった、坂の上の一軒家で暮らし、家や庭の手入れを日々丁寧に行っている。長女が産んだ、同居する孫娘は韓国から最近日本に来たため、日本語を勉強中。次女は新幹線に乗って時折訪れる。穏やかな暮らしを望む絹子だが、相続税が多額であることが判明し――。

建築、植物、金魚や虫などのさまざまな生き物がひっそりとしっとりと映し出される。絹子が着物を身に着ける様子もとても美しい。

せりふは少なく、寝不足だと眠気を誘われるかもしれないが、それも含めて心地いい映像なのだろう。

しかし不穏な空気も漂い、結末はほぼ予想どおりだったが、見終わった観客に「結局ああなっちゃったんだね」と言っていた人もいるから、意外と思う人もいるのかもしれない。

私は主にチャン・チェンを久しぶりにスクリーン上で見るために鑑賞したのだが、税理士役で、日本語の作品をこなしていた。役名はたぶん中国語名。

見終わった後に映画館の販売コーナーに監督の上田氏の写真集が置いてあったのを見つけて、ぱらぱらと見たら、日常の何気ない風景を、ソフトフォーカスというのだろうか?ぼかしたように写したな作品などが並んでいた。

作品情報

監督・脚本・撮影:上田義彦

出演:富司純子、シム・ウンギョン(沈恩敬)、鈴木京香、チャン・チェン(張震)、田辺誠一、清水紘治、内田淳子ほか

2020年製作/128分/G/日本
配給:ビターズ・エンド


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