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ダンス公演「オフィーリア」勅使川原三郎、佐東利穂子:シェイクスピアの世界に陶酔

KARAS APPARATUS(カラス・アパラタス)のホールで上演されている「アップデイトダンスNo.68」。シェイクスピアの戯曲『ハムレット』を題材に、佐東利穂子氏がオフィーリア、勅使川原三郎氏がハムレットを踊る。

この世のものならぬすさまじいものを目撃してしまった心境。せりふのない1時間のダンス作品だが、『ハムレット』の素晴らしい舞台化と言っていい。

この踊りはきっと戯曲のあのシーンだ、と思わせるほど(思い込みかもしれないが)、『ハムレット』、そしてオフィーリアの世界に引き込まれる。

勅使川原氏は手を少し動かすだけで感情や状況の変化をいっぺんに見せ、センターで照明を浴びて踊る姿はキレキレでとてつもなくかっこいい。暗闇の中でゆっくり動いていても、存在感が強く、どんな動きをしているのがよく見えないだけに、すごく気になる。狂人の動きや剣士の動き、恋人を翻弄する動き。

佐東氏は、オフィーリアが溺死したのを象徴するかのように、水の流れのように滑らかに踊り、急激な動きで狂気を見せる。無垢にも妖艶にもなる。アフタートークでは、オフィーリアは水のように周囲に流され、受け身の存在なのだと感じた、とおっしゃっていた。

決して若くはないお二人が、青年と少女に見える。しかし、長年一緒に踊り続けてきたこのダンサーたちにしか出せない、少しだけ垣間見える主人公の恋人たちの雰囲気がたまらなく魅力的だ。

照明も、いつにも増してシーンの多様な顔を現出させ、色味も含めて計算し尽くされている感じだった。水、この世、あの世などを表現していたと思う。

音楽も素晴らしかった。ちょっとホラーと思えるほど、狂気や死の臨場感があった。

この作品のことは、年を取ったら若い者たちに、こういうダンスを生で見たんだよと自慢しようと思う。

公演情報

アップデイトダンスNo.68
「オフィーリア」
シェイクスピア作「ハムレット」より恋人オフィーリアの死

絶望の水底に沈んだオフィーリアが見る紫色の空
灰色の死者ハムレットは影を刺し死を殺す
水は天を移す 死んだ水のみが永遠の愛

アップデイトダンス No.68

演出・照明 勅使川原三郎
出演 佐東利穂子 勅使川原三郎

【日時】
2月3日(月)20:00 、2月4日(火)20:00 、2月5日(水)20:00
2月6日(木)20:00 、2月7日(金)休演日 、2月8日(土)16:00
2月9日(日)16:00、2月10日(月)20:00 、2月11日(火)16:00
*受付開始は30分前、客席開場は10分前

【料金】
一般 予約 3,000円 当日3,500円
学生 2,000円 *予約・当日共に

▼ダンス公演レビューは「ダンス評.com」にもまとめています。



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