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早期退職 第11話 退職後の生活-⑥(学生時代の友人たちとの交友)

 学生時代の友人が転勤で東京に来ていた。私は時間的には余裕があるので、よく会っていた。やはり学生時代の友人はいいなと思った。利害関係なく、フラットな関係で付き合えるのがいいところだと思う。
 
 ある日、その友人と日帰り旅行に行くことになった。ところが、当日の朝友人から寝坊したので行けないと言うドタキャンの連絡があった。不思議とその時は怒る事はなかった。まぁ、日ごろから時間にはきっちりしている人だったので何かあったのだろう、体調でも悪かったのだろうと思った。昔の会社員時代であればどうしていたであろうか?やはり、仕事を辞めて寛容な気持ちを持つようになったのだろうか。
 
 またある時、友人の子供さんが突然亡くなったことを聞いた。あまりに突然でショッキングなことであったので私はその日は、なぜかしゃっくりが止まらなかった。自分も若い頃に知人を病気で亡くした経験があった。その友人と居酒屋で飲んでいる時、そんなことを思い出して、話しているうちに涙が出てきた。還暦近いおっさんが居酒屋で二人泣きながら話していた。友人も私であればこの話を聞いてもらえるだろうと思っていたようだ。周りのお客さんが不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
 
 もう一人の友人は関東で再就職していた。久しぶりに会うその友人は、ハツラツとした表情であった。やはり、彼は働くのが好きな人なのだろう。
人それぞれである。
彼には言えなかったが、自分の中ではせっかく組織から解放されたのに、また戻るの?と言う思いがあった。彼が言うには、退職後自宅にひとりでいると自然に涙が出てくるのだそうだ。彼の場合は、働くのが一番なのだろう。逆に、今の私を彼は不思議に見ているのかもしれない。
人それぞれなのである。


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