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早期退職 第19話 OBの訃報

 この年齢になってくるとOBの訃報をしばしば耳にするようになる。現役時代、恐かった人、優しかった人、優秀だった人、合わなかった人など、いろんな人の顔が思い浮かぶ。どんな人も死を避けることはできないと思った。入社した時の初めての上司が亡くなっていたことを知った時は、かなりショックだった。まだ七十前半で若かった。
 
 現役時代は、鉄人と云われた人だった。随分前に体調を崩していると噂は耳にしたことがあったが、それ以降の情報は聞いてなかった。この元上司とは最初はあまり合わなかった。でも、私が違う部署に移って苦労しながら頑張っている時、それを知ったか知らないかはわからないが、社内ですれ違うと声をかけてくれるようになり、最終的には打ち解けられた。
 
 亡くなった方を見ていると、早い人だと六十代から七十代前半、また平均寿命くらいまで生きる人もいれば、中には百歳まで生きている人もいる。
あくまで個人的な見解ではあるが、一定の傾向が見えてきた。
 やはりタバコ、酒、ストレスは寿命に関係してくるのではないかと思った。現役時代に、この三つが揃っている人はかなりの確率で早く亡くなっているように思えた。逆に、この三つに当てはまらない人は長生きしているように思える。長生きするのが良いとか悪いとかいう話ではなく、ただそういう傾向が見えた。
 
 早く亡くなった方のことを思い出すと、あぁ、あの人はヘビースモーカーだったし、お酒もよく飲んでいたし、仕事のストレスも多かったなぁと思い出した。あの元上司も、ここに当てはまりそうな気がした。
 一方で、長生きされている方を思い出すと、あんまりタバコも酒もやってなかったなぁと思い出した。そういえばストレスもなさそうだったなぁと思った。
 
 自分はどちらのタイプだろうか?父親は、平均寿命くらいまで生きた。自分はタバコを吸わないが、酒は飲んでいるし、ストレスもそれなりにあったので微妙かなと思う。
そんなことを思っていると、ますますこれからの残り人生は貴重な時間だと改めて思った。
 
 でも、不思議と大分時間が経過したからか、当時怖かった人とか合わなかった人でも、今はそれほどに思わなくなっている。
当時は、皆それぞれ、それなりの立場でギリギリのところで必死にやっていたので、結果として怖い人、あるいは合わない人に見えたのかもしれない。
本当に怖い人とか、合わない人なんかはそんなにいないのかもしれない。
皆、残りの人生を楽しく生きてほしいと思った。


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