短歌

夕闇に還る鴉のしじまにはやさしい街の余韻が残る

夢路にてあなたと少し淡い月流れる水面恋は移ろう

時折に冬の雨へと窓辺から待てば待つほど穏やかな風

クリスマスイヴにそっと流した涙には星の欠片が遠く滲んで

愛にただ深くある人佇めばあなたと今宵月の桟橋

水の音ただ響くだけこの心ゆっくりゆっくり羽衣を編む

星空に素直に訊いた恋の果て白湯の湯気にはサティの音符

青空は哀しい色の高架線迷う日々にも憧れを憧れを

猫のまま少し夜風に映えたのはあなたの横顔と星影の声

荒野より雨の調べを抱き締めて砂に隠した孤独な背中

枯れ果てた造花に恋はまたたいて思い出はただ夢のあとさき

あたたかな紅茶に冬の妖精が踊るだけです初雪の空



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