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【超短編小説】 彼女と彼氏

「ほんとムカつく」

 映画の帰り、彼女は泣きながら言った。

「ごめんって」

 彼女の横で、彼氏は小さく笑った。

「なんかバカにされてる気がする」

 膨れっ面の彼女。

「ちがうって」

 やっぱり、どこか嬉しそうな彼氏。

「なんであれで感動しないの!?」
「琴線は人それぞれだから」

 二人は夜道を歩きながら、手を繋ぐ。
 合わさった手は、彼のコートのポケットの中。


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