動物病院の待合室

動物病院スタッフによる、ペットと飼い主さまのためのコラムページ。

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最近の記事

「療法食」は食べないとダメなのか?

動物病院で処方される「療法食」ですが、犬や猫の食事の中では、よく耳にするごはんの種類です。 そもそも療法食とは、 『食事療法に利用することを意図し、栄養成分の量や比率が調整された特別な 栄養特性や特別な製造方法等に店り、一般的な健康維持食とは異なる特別な製品特性を有 するペットフード』であり、 獣医師の指示のもと使用されることを目的としたものです。 その栄養特性は一般的な健康維持食とは異なるため、長期間の不適切な使用は健康を脅かすリスクもあり、動物の体調をよくモニタリングし

    • 「無麻酔スケーリング」について思う事

      「無麻酔でのスケーリング(歯石取り)」問題ですが、とても注意喚起されている事案ですよね。動物病院スタッフの立場から言うと、やっている動物病院もあるけれど、私は反対派です。 おススメできない理由はたくさんありますが…とにかく危ないし痛いし治療にもならない。良いことないよ!ということです。その理由を説明したいのですが、少し変わった切り口にしてみようと思います。 「無麻酔スケーリングを、安全かつ意味のある医療行為とするための5つのポイント」 不可能なのですが…もしも系のファンタジー

      • 犬と猫の「けいれん発作」

        「発作」「痙攣」「失神」「ひきつけ」…みなさん、このような表現をされます。厳密にいうと、それぞれ言葉の意味がちがうのですが、みなさんにとって大事なのは、なぜおこったのか?どうしたらいいのか?ではないでしょうか。 発作中の痙攣には色々ある 発作は、脳の興奮でおこるとされています。私たちが活動するとき、手足を動かそうと「思った」ら、脳が「興奮」して、手足を動かすための「電気信号」を送ります。その信号を受け取った手足は、「動く」わけです。 発作は、動かそうと「思って」いなくても

        • 犬と猫のワクチンQ&A

          Q.ワクチンの種類とは、どういう意味? A. まずワクチンは、入っている「病原体の状態による分類」と、接種の「必要性に応じた分類」があります。 病原体の状態による分類ですが「生ワクチン」「不活化ワクチン」「mRNAワクチン」などがあります。動物病院で使用されるワクチンは、生ワクチン、不活化ワクチンがほとんどです。 ワクチンは免疫力をつけるために接種します。免疫を付けるには、免疫が反応する相手(病原体)が必要です。ワクチンは、この相手側を担ってくれています。 生ワクチンは、

        「療法食」は食べないとダメなのか?

          【動物病院から帰宅した後】気をつけてほしいこと

          楽しく通院してほしいのは山々ですが、どうしても予防接種や採血で苦手なイメージが付きやすいのが、動物病院です。多くの動物が興奮して体温や呼吸数が上昇してしまいます。 そんな状態で帰宅することになるのですが、家についた後にトラブルがおこることもあります。「転嫁行動」いわゆる八つ当たりです。病院に連れて行ったご家族でなくても、「不本意な目にあった」という気持ちをぶつけることがあります。例えばその対象が、子どもだったり、同居動物だったりしたときに問題となります。 先にご理解いただき

          【動物病院から帰宅した後】気をつけてほしいこと

          猫と妊婦さんのトキソプラズマ症

          動物病院では、たまに「トキソプラズマ」について、妊婦さんからご質問いただきます。猫の飼い主さんが結婚してママになることは、よくある事です。婦人科では、胎児への胎盤感染でおこる「先天性トキソプラズマ症」について説明を受けると思います。 病気についてネットで調べると怖い事が記載されていて、うちの猫は大丈夫かな?と心配になりますよね。また、ご実家に猫ちゃんがいる場合などは、帰省してもいいものか悩んでしまいます。トキソプラズマ症はどんなリスクを持つ病気なのか、ここで解説していきます。

          猫と妊婦さんのトキソプラズマ症

          ペットの「旅立ち」について知っておいてほしいこと

          ここ数十年で、動物と私たちの距離はとても近くなりました。 以前は外で飼育され、病気の発症が寿命であった動物たちは、室内で大切にされ病気は治療する・予防する時代になりました。 彼らと私たちはパートナーや家族、親友となり、かけがえのない存在です。 成人したり、結婚したりして、いつか独立していく人間と違って、動物たちはずっと幼く、変わることなく側にいてくれます。私たちの人生そのものを、一緒に生きてくれているような存在です。 彼らとの別れは、誰しもが考えたくないテーマであると思い

          ペットの「旅立ち」について知っておいてほしいこと

          投薬用おやつ・使用感レポート

          前項で投薬について触れましたが、薬と気づかず食べてくれるのが、一番楽です。 ですが、「どれを使ったらいいのか分からない」「使ったけれど、薬だけ出してしまって上手くいかない」といったお声もよくお聞きします。ツールの特徴とお薬の形には相性があります。ここでは、おすすめの選び方や与え方をご提案していきます。 錠剤や少量の粉薬をあげるとき しっかり包めるものを選んでください。ソフトトリーツ系で、お団子状にできるものが良いです。ペーストや緩い形状のものを選んでしまうと、動物は「舐め

          投薬用おやつ・使用感レポート

          錠剤を上手に飲む!

          動物病院で薬をもらって、いざ投薬!となった時、苦戦した経験はありませんか? もちろん投薬する機会はない方がいいですが、年齢とともに疾患も増え、一生のうちに一度も薬を飲まずに済むことは難しいのではないかと思います。 錠剤を直接飲ませる 最もスタンダードで、素早くできる方法です。嫌なことは、さっさと済ませる!が一番です。 しかし、一度嫌な経験をすると次回から察知されやすく、後々難しくなることもあります。 本番で失敗しないように、普段から「美味しいもの」を使って練習しておくこ

          錠剤を上手に飲む!

          犬と猫の「美味しい」と感じる条件は?

          犬や猫の祖先は、紀元前4000年前まで同じ「食肉目(ネコ目)」でした。その後、イヌ亜目・ネコ亜目に分かれ、それぞれの進化をしていきます。犬の仲間はアザラシやパンダ、クマなどで、魚を食べたり、笹を食べたり、どんぐりなどの木の実を食べたりする多様な食性の中に進化しました。一方で猫はライオンやチーター、トラなどの仲間の中で進化し厳格な肉食となりました。両者とも、人と一緒に生きてくれる姿の近いもの同士ですが、進化の過程から考えると、その食性はすいぶんと違うようです。 犬の生活と食べ

          犬と猫の「美味しい」と感じる条件は?