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管理職不足の原因と対策について -その1 序章-

小中学校の管理職不足が深刻になっている。
神戸市では2009年に小中学校教頭の昇任試験を受けたのは300人だったが、2019年には98人にまで落ち込み初めて倍率が2倍を切ったという。
それを受けて神戸市は2020年から昇任試験を廃止している。
「本人の意向調査と面談を経て引き上げる方針で、適任者がいれば「30代の教頭先生」もあり得る」1) としているが、その後本当に管理職は十分に確保できたのだろうか。
全国初の思い切った方向転換を断行した勇気は認めるが、「試験」をやめて、適任者を「説得」して確かな人材を得ようとしても管理職になろうという者が減っている根本的な原因を追究し、その対策をしっかり講じなければ真の解決にはならないだろう。

なぜ、管理職になりたがらないのか。
一番の原因は、その責任の重さや仕事量の多さと待遇のバランスが大きく乖離しているからだろう。
教頭や校長になったからといって給与が大幅に上がることはない。
管理職手当がつくといっても、大規模校に勤務すれば慶弔費だけで足が出る。

若くして管理職になったら、職場の中に自分よりも給与が高いベテランがたくさんいる。
しかも、そういう人ほど管理職に好き勝手な注文をつけてくることも少なくない。

状況は都道府県によっても違うだろう。
例えば、組合の強い地域とそうでない地域では管理職のあり方に大きな差が出る。
組合が強ければ、管理職によるパワハラに制御がかかるというような利点もあるし、学校全体で物事を考えようとする雰囲気も生み出しやすい。
しかし、管理職側から言えば、教育委員会よりも職員の意向に神経を使うことが多くなる。
つまり、管理職の発言力が弱まるということだ。

校長が職員の意向を重視して実行したことに対して教職員は責任をとることはない。
これが教員の自立心を低下させる面もある。

それでも、組合は必要である。
組合が弱い地域での管理職の発言が人権問題ではないかと思われることも多い(ツイッターにはそういう内容が多い)。
働き方改革などに対しては組合の力が今こそ必要だと思う。

というわけで、何回かに分けて、この管理職不足について、その原因と対策について書いていこうと思う。(作品No.136R)
1)神戸新聞NEXT 2022.6.18 ( 土 )
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202009/0013680786.shtml

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