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「何もしてない時期」も「生きてる時期」

どうしても働きたいだけだったのに、変な会社の面接受けてしまった。

酷い暴風雨の中、予定の20分前に着いてしまって駐車場に居座るわけもいかず、会社の玄関を開けた。

受付に直でオフィスが並ぶその部屋は、朝早いにしても異常に静かだった。

数秒と待たず、気づくと向こうの応接室におじさんが立っていた。
おじさんが何者なのか知らない。私が名乗ったのに一度も名乗らなかった。今となっては知る気もない。



アルバイトパート枠で、フルタイムで働けばなかなかの収入が見込めると思って応募したはずなのだが、やたら空白期間(ブランク)を気にされた。

気にするという言葉すら生易しい。同じ質問を何度もしてきた。「で、今は何をしてるんですか?」

一言一句同じに聞かれるので、いくら私が「現在無職です」「一度お休みしておりました」「家の手伝いをしていました」
「生活をしていました」まで言った。

どうしても理解ができなかったので、私は質問の意図が分からないのですがと質問すると、おじさんは言う。
「その間資格勉強はしてないの?先行投資って言うんだけどね、親の金を借りたり貯金使ったりしてユーキャンやるとかあるよね。一般論として資格取った方が良いでしょ?」

私は親の金は借りたくないんです。と主張した。貯金だって、この人に私の通帳など見せていないくせにこんなことを言ってきた。
それに一般論と言い訳しておじさん個人の意見を押し付けられたように感じた。



あんなに人をただの既卒無資格無職としか見ていないのなら、自分の精神状態を説明すべきだっただろうか。
一度だけ、大学で何を学んでいたか聞かれただけで、あとは上記の質問をコピーして繰り返し。
多少の掘り下げもせず、無資格であることを確認するだけ。ひどい面接、いや会話にもならない立ち会いだった。

あの時からまだ胃にダメージを感じるが、このまま悪印象のまま記憶したくない。
おじさんはなぜあんなことを言ったのだろうか。


(ここから全て予想) 


きっと、おじさんは今まで精神的に挫折したことなどないのだろう。周りにそういう人もいない、いや気にしたこともないのだろう。
おじさんは、生きてる人間全員、無職期間中は何の悩みも無く、皆すぐに資格勉強、求職がすぐできると思っていたのだろう。

金銭的な余裕がなければ勉強どころか日常生活も集中できなくなってしまう人を知らないのだろう。
もっと言えばこのおじさん、生まれてから親から金を借りることに引け目を感じていないんじゃないか。
人は全部おじさんの当たり前の中で生きている。それ以外は理解する気がない。


喜ばしいことに、あっ、いや、残念ながら。不採用だった。その日中にメールで伝えられた。

自分で書いておいてなんだが、こういう記事を見て面接恐怖症が増してしまう人もいると思う。私がそうだったから。

ただ、ここで一度深呼吸してほしい。

今現在2社アルバイト面接を受けたが(落ちたが)、アルバイト面接で聞かれるのは大体、

  • 何曜日の何時頃出られるのか

  • ちゃんと遅刻・ドタキャンするような人じゃないか

くらいだ。今回はもしかしたら全然読み込んでないおじさんが正社員面接と勘違いしたのかもしれない。
私だって正社員面接だと意気込んでいればまだ覆い隠せた。


私の3倍ほど生き、その中でこういう変な面接に何度も当たったらしい私の母は言ってくれた。


次、またいいとこあるよ。


そこで嫌な気持ちになっても、私は、あなたは何も変わってない。そのままだ。またちょっと休憩して、いいところに行こう。

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