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徒然日記|ご褒美を選ぶひと

 スーパーで、手に持ったパンを棚に戻そうとして手を止め、しばらく考えてそれを棚に戻し、ほかのパンに目を走らせている男性がいた。その姿を横目に見つつ、わたしは深く共感してしまった。あんまり行儀のいいことではないとわかりつつも、わたしもつい優柔不断でそういうことをしてしまう。自分へのご褒美を選んでいるときなんてなおさら。
 こうやって悩みに悩んだ結果、思い通りの、もしくは予想を超えたおいしさに出会えると、ほんとうに嬉しくて、なんだか勝利感まであるのに比べ、予想とは悪い方向に違ったときの切なさったらない。せっかくのご褒美だったのに、もはやさらに自分を落ち込ませる原因になってしまうのだ。
 そんなことを思いながら、その男性が一番素敵なパンを選べますようにとそっとつぶやいた。

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