朝日新聞論座「保育士はなぜ虐待をしてしまうのか?」を読んだ私の考察

最近になって、また保育士による虐待のニュースが出たようだ。
保育士による虐待はニュースに出てこないだけで蔓延しているかもしれないし、特定の場所でのみ起きているのかもしれない。理由はともあれ、虐待はダメなことだ。

それでも保育士による虐待が起きる。その理由を朝日新聞の論座で考察されていた。

論座の要点を簡潔に

「保育士の低賃金」、「保育士の配置基準」、「カリキュラムの増加」、「新型コロナ感染症対策」の要因が虐待の背景にあるとされている。しかし、この4つの要因は本質をついていない。

心に湧き上がる、苛立ち、怒り、憤慨、腹立たしさといったネガティブ感情をどのように手放すのか、そのプロセスに保育士間の相互ケア的な視点が有効になる。この感情を個人でコントロールすべきだが、多くの保育士がネガティブ感情を経験するなら、対処方法は検討されていくべきだ。

独善的で自制心を欠き、理想とする子どもの姿を押し付ける〈先生アイデンティティ〉としてのふるまいもある。子どものためを想ってと自分の行動を省みることをしないため、虐待行為につながることがある。

虐待報道がされてから、「不適切な保育」と言われるケースがあるが、それによる問題もある。保育の仕事を査証をぼかしてしまい、不信感を招きかねない。「不適切な保育」ではなく「虐待」という厳しい言葉で保育を再検討するべき。

論座の中で考えられること

保育士が虐待をしてしまうのは、感情のコントロールが十分にできていないから、ということだ。子どもとの関わりの中で、大人の思う「悪いこと」をしてしまうと、多少なりともネガティブ感情を引き起こすだろう。その時に自分の感情を理解して、適切に対応することが求められるようだ。10分程保育の現場から離れて気分を落ち着かせることで、虐待につながるような感情は取り除くことができる。そのくらい人的に余裕のある保育所は少ないので、できる可能性は低い。

子どもに対して悪い感情を抱いたことに対して、抑え込まず、同じ職場にいる保育士に打ち明ける。そのことを聞いた保育士は受け入れる。そんな関係が築けるかがカギになりそうだ。虐待の前兆を見つけて、対処できる可能性が増えると考えられる。

私の思う保育で虐待が起きる原因

保育士はなぜ虐待をしてしまうのか?

この問いに私なら、「余裕がないから」「物事が思うように進まないから」と答えると思う。

余裕がない

保育士の業務は世間で思っている以上に多い。

日々の保育の計画を立てて、実行、振り返ることが大学で学んできた保育士としての仕事だ。そこに、園庭で育てている作物の水やり、部屋の掃除、玩具の点検、保育に必要な物の作成を含めて、普段の保育士の仕事と考えることができる。

日々の保育に加えて、行事の準備もある。七夕祭り、運動会、クリスマス会、生活発表会、卒園式、等々。当番制であっても一人当たりの負担はそこそこある。

気付けば時間に追われている。子どもに向き合う時間はあるが、心の中では余裕がないため、ゆっくり関わることは難しい。勤務時間内で終わらせることはできないので、残業や持ち帰りをすることもある。

自分の悩みを打ち明けることができない、ストレスのかかる状態になってしまう。その時のストレスのはけ口として子どもに向くことで虐待をしてしまう。

思うように進まない

保育の仕事に限らず、人と関わる仕事は思うように進まないことが多い。聞いたり実際にやってみたりして思うことだ。

特に子どもと関わることは難しいのだ。理由は、考え方が違うから。
少ない経験の中で、自分なりに考え、繋げていく。これが面白い発想に繋がることもある。だが、大人の思う考え方と大きく離れているので、思うように進まないことがある。

保育の計画はある程度決まっているとしても、子どもの1つの考え方で大きく変わることがある。子どものためを想うなら、活動を変更するのが理想。プランBをつくるのも一つの手。しかし、想定できていないことが起きるのが現実。多くの手段を持っていたらそれなりに対応できるだろう。柔軟な対応ができないために、「子どもたちのために」という理由をつけて無理やり決められた活動を通してしまう。全部がそうだとは思わないが、計画したことが上手く進まないために力に頼るところがあるだろう。

行事のことで相談することがあったとしても、担当の保育士などと時間が合わないために相談することが難しい。そして、分からないまま決められたことをそのまましようとする。そして、どこかで歪が起きてしまうが無視してしまう。無理やり押し通してしまう過程で虐待をしてしまう。

虐待をなくすためには

一番効果があるのは、保育士の勤務条件を良くすること。
それは行政も絡んでくる。声をあげれば少しずつ変わることは期待できる。

一番手っ取り早いのは、何でしょうね…
強いて言えば、保育所内の人間関係を良くしておくこと、かな。ちょっとしたグループで楽しめるような関係でもあったらいいのじゃないかなと思う。頼り頼られる関係をつくれば、お互いが必要な人だと思って業務に着けるのではないかと思う。

最後に

私も保育士として勤務していたが、心を壊したため休職している。虐待の一歩手前のことをしてしまい、後で後悔したことも原因だ。心に余裕がなかった上に、日々の保育が思うようにできなかったことへのいら立ちはあった。相談したくてもなぜかできなかった。そして今に至る。

虐待の起きている保育所には子どもの居場所がない。私のいた保育所も目立ったものはないが虐待を思わせる行為がよく見られる。そんな場所では子どもも保育士も楽しい生活ができない。変えていけなかったのではなく変えようとしなかったのだと今になって思う。お互いが信頼できる関係でなかったから。今からでも間に合うかな…

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