数々のモンスターをなぎ倒し、ようやく目的地にたどり着いた。酸素ボンベをはずし、入口のドアを開く。
　腹を空かせ楽しみに待っていると、メニューが運ばれてきた。
「こちら、アサリの酒蒸しでございます」
　俺はあんぐりと口を開け、店員を睨みつけた。
「はぁ？　海の底まで来たってのに、アサリの酒蒸し？　【海の底はアサリの酒蒸し】？　そんなもん浅瀬でやれよ！」
「と言われましても……」
「知らないの？　【洞窟の奥はお子様ランチ】だし【フェニックスの火山は焼き鳥串】だし【眠りの森はホットミルク】だぜ？　それなのに、海底探索をした挙句にアサリって……」
「【スライムの谷はソーダゼリー】ってのもありましたね」
「ありましたね、じゃねーんだわ！　海の底くんだりまで来たのにアサリはないだろって！」
「では、どのようなメニューをご所望で？」
　逆に問われ、俺は腕を組んだ。
「……そうだなぁ。やっぱ深海魚のソテーとか……」
「ああ、それ、海底神殿でやってますね。【海底神殿は深海魚】」
「すでにあるんかい」

（425文字）

※たらはかにさんの企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきます。【毎週ショートショートnote】お題発表！2/18｜たらはかに（田原にか）

【あとがき】
お題に沿っているのかどうか、、難しかったです。