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子どものときの私がくれたもの

昭和の終わりから平成の初めごろまで、我が家にはテレビが1台しかなかった。そして、チャンネル権は「ザ・昭和の父親」である父親にあった。父は、野球シーズン中は月曜日の夜以外は巨人戦を、週末の昼間はたいていの場合、将棋、ゴルフ、競馬のどれかを見ていた。

これらの番組は、私にとっては全くもって面白くなかった。ただ、何年も見続けたので、父に教えてもらった将棋を除いては、野球もゴルフも競馬もテレビでいつの間にかルールを覚えてしまった。

数か月前に、ゴルフ用品会社を担当する翻訳者の募集案内のメールを受け取った。私は音楽等のエンターティメントやIT関連のマーケティングの翻訳を主に担当している。スポーツ関連はニュース翻訳を少しだけ手伝ったぐらいしか経験がない。だから、ゴルフに関する経験を書く欄に「自分はゴルフをしないが、父親の長年の趣味がゴルフなのでゴルフについての知識はある」とダメもとで記入した。

その後、何の連絡もなかったので「やっぱりダメだったのか…」とすっかり応募したことも忘れていたら、最近になって依頼がきた。裏番組を見たいと思いつつ、毎日父の見ている番組を見ていたことが今になって報われた。

いろいろ思うところがありながらも、じっとテレビを見ていた子どものときの私へ。

本当にありがとう。

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