[V系SF] 伏見瞬賞:Mantra Digital「luv garden」
ロカスト編集部の河野咲子が、猿場つかさとともにパーソナリティを務める第6期ダールグレンラジオ。「ゲンロンSF創作講座」の提出作を批評するラジオ番組であるにもかかわらず、SF作家・樋口恭介およびロカスト編集長・伏見瞬をゲストに迎えたトークから派生して講座とは無関係に独自の「V系SF」企画がスタートしてしまい、応募作のなかから受賞作が選出された。
ロカストプラスでは、本企画と関連して受賞作のうち2作品および河野咲子の書き下ろし作品を配信する。
本ページにて配信するMantra Digital「luv garden」は、Tohjiの楽曲を題材としてJ.G.バラードの『クラッシュ』を思わせる破滅的な欲望を描き、伏見瞬賞を受賞した。
銀河のハイウェイを駆けめぐる少年たちの幻想は狂おしい。そして特筆すべきは、その光景がイオンモール・ヨーカドー・コジマといった土着的な、しかし固有性のないショッピングセンターから出立している点ではないか。ショッピングモールしかレペゼンするHoodがない少年たち=Mall Boyzの一員、Tohjiの曲からの連想として、あまりに正しい選択。あらゆるポピュラー音楽は、どこでもない場所に生まれてしまった子どもたちに束の間の、しかし強烈ななぐさめを与える。その強烈さが、V系から近い場所にいるとは思われていないTohjiのV性の中心を貫いている。
以下、選考コメントとともに本文をお楽しみいただきたい。
luv garden
Mantra Digital
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