路地裏のニャンコ

舌が長い

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最近の記事

他人をどかすゲームしてはるんか?

関西に戻ってきて2か月が経った。 それはつまり、思考と発話が一致するようになって2か月が経ったということだ。路地でねこを見つけたら「お、今日もおんねや。かわいいな」と言うし、玄関を開けて強風が吹いていたら「は?寒すぎやろ。ええ加減にせえよ」と言っている。(独り言が多いのはもともとなのでご容赦ください) 広島に住んでいた頃は、広島弁を喋っていた。 単語レベルでネイティブとまではいかないが、通算3年間住んだことで、アクセントはほぼ完璧に話せるようになった。「現場が」と言うとき、

    • やばない?クレープ屋

      たまには普段と違う道から帰ってみるか、と思い、駅の改札を出たらうちと反対の方向の商店街へ歩いてみた。惣菜屋、衣料品店、ドラッグストア、1000円カット(前髪を切ってもらいたくてガラスごしの店主のおじさんの視野に入ってぴょこぴょこアピールしたけど相手にもされなかったので入店断念)などが並んでいて、一本筋が違ってもだいたい景色は似たようなもんだなと思った。 特にほしいものもないしそろそろ帰るかと思った矢先である。 クレープ屋があった! 女子高生がいた! 吸い寄せられるようにして

      • 何が京都の美しい

        就職で京都を離れて4年間、京都出身ですと言うと十中八九「いいところですね」と言われた。京都がいいところであることは間違いない。しかし、「ですよね、例えば」と私の話を始める前に、ぐっと立ち止まって「どう好きなんですか?」と聞いてみると、人によってそれぞれの京都像があり、京都愛があるから面白いことに気づいた。 「抹茶が好き」「金閣寺が好き」「着物で歩くのが好き」 これは生まれた時から住んでしまっている我々には完全な理解が難しい魅力だ。我々は「修学旅行で初めて京都に行く」ことがで

        • 歯磨きをしながらどこまで行けるのか

          今日は快晴です。 歯磨きをしながらどこまで行けるか気になったので行けるところまで行きました。ノーメイク、スウェット着、眼鏡のままする歯磨きというのはもっとも歯磨きらしい歯磨きで気持ちのいい行為です。このままどこまでも行けるとしたら最高です。 まずは郵便受け。余裕で行けましたが、これは郵便物を取るという明確な目的がある以上、「行く」というより「ちょっと出てまた戻ってくる」場所なので余裕で当然です。 次にエントランスの木陰。うちのアパートには日に焼けてペンキがバリバリに割れて

        他人をどかすゲームしてはるんか?

          信用オバチャンRTA

          あまりに無職すぎて一日中実家でぶらぶらしていると、ご近所さんに子守を頼まれるようになりました。今さら椎名林檎にハマって目の周りを黒で囲んで赤リップつけてる人間で大丈夫なんでしょうか。常々、約束は要らないわ果たされないことなど大嫌いなのと思っています。 しかしひとたび玄関を出たら可能な限り善良なオバチャンに見られたいので、まず声をなるべく低くします。語尾のすべてから「キャピ♪」感を取り除くことが重要です。社会的に信用される女性というのは総じて声が低いと相場が決まっているためで

          信用オバチャンRTA

          下町の商店街とお買い物バトル

          引越してきた街はデカめの下町でした。 約660m続くアーケード街は大阪最大級。よくテレビの街ブラロケで出てくる情緒溢れる商店街といったところでしょうか。PayPayがあまり使えません。 初日は商店街の衣料品店を偵察しました。 相場はどこも1000円〜2000円。 店頭の目玉商品はだいたい500円程度です。 ローンを組んで背伸びした服を買うのも楽しいですが、そういう店では「こんなに高い服を買う自分」に酔っていたり、逆に武者震いしていたりなどして実はあんまり服を直視できていな

          下町の商店街とお買い物バトル

          ピラティス歴3ヶ月の感想

          最近の悩みはピラティスに行った日の日記が下手くそすぎることです。 例えばこんな感じです。 3ヶ月間、毎週ピラティスに行って毎週この調子で日記を書いています。情報が少なすぎる。 もうちょっと描写せえよと私が私にツッコミを入れるのですが、思い出せないのだからどうしようもないのです。 (ピラティスとはポーズを取りながら胸式呼吸をして体幹を鍛える静的なエクササイズです) 何週もやっている動きだけ、身体にしみついて思い出すことができるようになっています。思い出せるので言葉にできる。

          ピラティス歴3ヶ月の感想

          熊野、その周辺性

          梅原猛・中上健次(1994)『君は弥生人か縄文人か』 で梅原猛が喋っていることをメモします。 熊野は黄泉の国 記紀神話(記紀とは古事記と日本書紀のこと)を見ると、熊野というのは黄泉の国のイメージである。 そこにはこの世と違った秩序があり、そして死と通ずる不思議な世界だという観念が持たれていたのではないか。 熊野は山人だとか海人の世界。つまり縄文の世界。 一方、現世というのは農耕をしている。 柳田国男に言わせるとそれは常民の社会。 弥生時代以来、稲作農業が日本人の生活の主

          熊野、その周辺性

          旅日記

          授業のあとに講師に話しかけに行って「最初に話しかけに来てくれた人にだけ渡そうと思ってたんだよ」と名刺をくれたその人の家を訪問し、「今年の夏休みミャンマー行くんだけど来る?」と言われたので「はい行きます」と二つ返事をしたことがある。大学一年生の時だった。夏までは朝から皿洗いのバイトに入り、FUJIFILMのコンパクトデジタルカメラを買った。 その講師はミャンマーの日本語学校を開校しようとしていて、面白そうだったので手伝いをすることにした。私の他にも他大学の女の子がもう一人いて

          今年初ムヒ

          日曜の夕方のスーパーの帰り道急に涙が出てきて、将来が不安なのか生理前かどっちだこれ、どっちもかと思いながらとぼとぼ社宅の階段昇ってさ。今日は日差しが強かった。シーツ洗ってる最中だからマットレス剥き出しだけどまあいいかと、家につくなりベッドに大の字になって放心して、そんでふと近くの山の上の神社に行くことにするのよ。そしたらそれが結構険しくて。もうすぐ17時なのにこんな山道進んで大丈夫か?帰り道分かんなくなっちゃうんじゃない?考えると途端に死にたくねぇなと思えて目印になりそうな青

          文字から凄みを感じた 『かか』

          恐ろしい恐ろしい。ゾッとして落ち着かない。さっきからずっとベッドの上でキョロキョロしている。 宇佐見りん『かか』を読んだ。 読み始めは、色と気持ち悪いにおいが飛び出てくるような描写で視野がぐらぐらした。発狂するかか=母や、主人公うーちゃんの思うの女性性の忌まわしさが迫ってくる。 そしてある目的のために和歌山の熊野に旅に出るのだが、うーちゃんのSNSアカウントとしての「ラビちゃん」が出てくるシーンからは、急ハンドルを切った直後みたいに酔いながら読んだ。 さっきと違う景色が

          文字から凄みを感じた 『かか』

          「脇毛 はやし方」

          「脇毛 はやし方」 でググったらラッパーあっこゴリラのYoutubeが出てきたので見たっていう話します。 ♡ そもそも中学生の時から剃り続けていた脇毛を、去年の冬から一念発起して生やし始めてまして、でも友達には軒並みやめとけって言われてて、しかし私は脱毛サロンにお金溶かす彼氏にアンタは毛が生えてても美しいから!!って説得するために生やし始め、そうこうしてるうちに彼氏と離れ離れになりまして、結局今私には脇毛だけが残りました。ハ? あとちょっとで夏です。 彼氏にのみ個人的メ

          「脇毛 はやし方」

          大人になって出会い直す『蛇にピアス』

          金原ひとみの『蛇にピアス』を再読した。 マセガキだった中2の頃に初めて読んだ時は、 暴力的かつエッチな本だとしか思っていなかった。 派手な髪の若者たちが血を滲ませながらピアスの穴を拡張して、酒飲んで暴れて、性行為して、刺青を入れる…。どれも見たことがない現象ばかりで中学生の私にはさっぱり分からなかった。これが金原ひとみとの出会いであり、純文学との出会いだった。 さて、私は大人になっていた。 再読しながら、作中に出てくる場面をだいたいイメージできるようになっていることに気づ

          大人になって出会い直す『蛇にピアス』

          青春は独りよがりだった『蹴りたい背中』

          綿矢りさの『蹴りたい背中』を読んだ。 2004年に最年少で芥川賞受賞をされて127万部のベストセラーになった作品。今読んでよかった。 高校のクラスが舞台でありながら、恋愛も友情も、汗も涙も楽しい思い出も「あちら側」として描かれる、教室の余り者から見た彼女の世界の話だ。 ハブとかイジメとか、そういうことじゃない。 理科の実験室で適当に5人組作れーと指示されて自然と余ってしまうあの感覚。 休み時間があと5分もある、興味ないけど教科書読もうかな、トイレに籠もろうかな、そうだお弁

          青春は独りよがりだった『蹴りたい背中』

          どこかへ行きたくなる!『ナマコ』

          いやいやいや、今日はいい日でしたわ。 選挙のために知らん町内の集会所に行ったら、近くにいいおはぎ屋さんを見つけるし。 チャリの修理の待ち時間、最寄りの図書館に行ってみたらたまたま気分にピッタリの本が読めたし。 天気がいいからとても散歩しがいがありました。 今日読んだのは椎名誠の『ナマコ』。 書架の中で一番派手なライトイエローの背表紙に、 まるみのある太めのフォントで『ナマコ 椎名誠』とだけ書いてあったのが目に入って、なんだこれ、読んだら元気出そうだなとわくわくした。 うま

          どこかへ行きたくなる!『ナマコ』

          孤独の意味も、女であることの味わいも

          最近努めて男性の書いた本だけ読んでいた。 実家の本棚から大江健三郎の『死者の奢り・飼育』を見つけて引っ張り出したり、読後にサルトルの実存主義を検索したりした。あ、これ倫理の授業で習ったな。本棚にあったのは多分高校時代の課題図書だったからだ。 さて、久々に会った彼は東京土産のかわりに3冊本を渡してくれた。一冊は柴田翔の小説、もう一冊は『死者の奢り・飼育』。まじで?私も昨日読んだよ! 最後は三浦瑠麗氏の『孤独の意味も、女であることの味わいも』だった。これだけいかにも女女したタイ

          孤独の意味も、女であることの味わいも