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赤ちゃんの「名付け」、ネットに頼らずゼロから夫婦の最適解を探した記録

<こんなことを話します>
THEME  赤ちゃんの命名。夫婦の「よい名前」を追求した記事です
WHO AM I 僕はネーミングやブランディングにうるさい人です
VALUE   子供の名付けの参考になると思います!

7月に男の子が生まれ、一児の父となった久田です。​

よく「名前は赤ちゃんへの最初のプレゼント」と言われますが、これほど難しいプレゼント選びも中々ありません。
良い名前は定義がなく、その時のトレンドにも左右されます。

この記事は、子供が生まれたら必ず行う「名付け」について、可能な限りゼロベースから良い名前を模索したそのプロセスです。

※ここで候補に残る名前=良い名前ではありません。また、ここで除外対象や例に挙げた名前=悪い名前ではありません。夫婦で決める方針によって「良い名前」の在り方は異なります。

はじめに - 僕が名前の候補を考え、妻がジャッジする流れに。

アセット 1(PNG)

我が家では安定期に入った頃「僕が名前の案を出し、妻が案についてジャッジする」という流れになりました。おそらく、多分僕の鼻息が荒かったため、妻が考慮してくれたのだと思っています笑

僕は漠然と
「後悔しなくないなぁ(→名前ランキングや直感で決めると後から違う名前が気になりそう)」
「名付けの時間をネガティブにしたくないなぁ(→付けられる名前は1つなので、1個1個列挙していくと否定が多い時間になってしまう)」
と思い、
概ね次の方法で名前を考えていくことにしました。

アセット 2(PNG)

<ルール>
・まずは選考方針を決める
 →手戻りが少ない。案をボツにしても、さほどネガティブにならない。

・ネットや書籍を見て名前を探すのはNG。
 →見てよいのは常用漢字表や、自分の知る身近な人の名前の情報だけ
<選考方法>
ネット情報等は見れないので、ひらがなの組み合わせからブレストし、選考方法でスコアリングを行う

0.選考方針をきめる

名前の候補を見て「何を大事にするんだっけ?」と立ち戻ることができるのが、選考方針です。

夫婦で次の選考方針を決め、これを基に名前を決めていくことにしました。

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(↑Googleスプレッドシートで作った選考方針)

(1)大事にすること:絶対守る!
・伝わりやすい名前にする
 →伝わりやすい名前こそ、一番大事なことだと感じました。名前を名前として覚えておもらえるのは、当たり前なようで難しいポイントです。
・説明しやすい漢字にする
 →社会で自分の名前を説明する際、さっと伝えられるのはなにかと便利です (例:「健康の健に太いで健太(けんた)です」)。
・音で概ね3文字以下
 →完全に好みです。当然例外もありますが4文字以上は省略されたり苗字で呼ばれるイメージがあります。また、今は「蓮(れん)」など2文字でシンプルな読みが多いですが、「なんだかんだ3文字の名前は流行り廃りが無いのでは」という予測もありました。

 
(2)参考にすること:できる限り追求
・突飛すぎない独自性
 →独自性のある名前は、誰かに覚えてもらいやすいです。しかし、突飛すぎると伝わりやすさが損なわれるどころか、変な名前という印象を与えることもあります。両方追求するのは、とても難しいですが、なるべく追求することにします。
・書きやすい
→一生書き続ける名前。画数が多いと何かと面倒です。これも最優先ではありませんが、なるべく考慮します。
・変換しやすい
→いかにも現代っぽいですが...辞書機能に依存するのでマストではありません。
・読み替えた場合、いじめの対象とならないか
 →例:けんた君→「ケンタッキーw」など。当然すべてを予見できませんが、小学生目線でツッコミどころを想定して、なるべくリスクは減らすべきでしょう。


(3)あまり重視しないこと
・画数

→画数を重要視している方は多いですし、僕自身の名前も画数が良いとされていますが...
 ①画数に縛られすぎると読みにくい名前になり、本末転倒
 ②候補を揃えても落選しやすく、名付けがネガティブな時間になりそう
 ③ゼロベースで自ら基準をつくるのが前提なので、主旨にそぐわない
 という理由から今回は重視しないことに。
・外国人への伝わりやすさ
→発音のしやすさは考慮するべきです。しかし、例えば英語圏の発音のしやすさばかりを考えると自由なアイデアを出しにくくなるので、「伝わりやすい名前を探したら、結果英語圏でも発音しやすいよね」程度でいいのかと。

(4)やらないこと:努めて避けるべき事項
・性別不詳な読みや漢字

→「男性か女性か分からない中性的な名前」。正直、僕はかっこいいと思っていますが...幼少期に自分の性別でない方で「〜ちゃん(〜くん)」と呼ばれるのはストレスだと考え、除外対象としました。
・2通り以上の読み方がある漢字の使用
→例:隆大(たかひろ?たかまさ?りゅうだい?りゅうた?)など。相手に読み間違えされて指摘するのは、辛い時間です。相手には当然悪気はありませんが、こちらが見過ごして我慢するのも違う気がします。
・音や画数に囚われ、当て字や余分な漢字を付加すること
→完全に好み。心呂(こころ)など、個人的にダブりにもやっと感が残るのでNGとしました。画数や使用したい漢字を意識しすぎると、こうなってしまうのかもしれません。
・夫婦にとって悪印象の人物の名前
→過去に同名のイヤな人がいたのであれば、あまり深く詮索せずにボツにすることにしましょう。
・2人の両親等が拒絶するもの
→可能であれば、じーちゃんばーちゃんにも好感を与える名前でありたいものです。事前に避けてほしいことをヒアリングし、合理的な理由でなかったとしても尊重します(例:「○○という名前は絶対に嫌だ」「△、という音や漢字は使用してほしくない」)。

1.1回戦:ひらがなの組み合わせを全部出す(∞→11,236通り)

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(↑画像:全部出したひらがなの組み合わせの一部)

選考方針が決まったら、候補を挙げていく第1ステップです。

大事にすることには「伝わりやすい」「概ね3文字以下」があり、「ネットや書籍を見ない」と決めているのでひらがな2〜3文字を全部だしていくことにしました。

とはいえ、これは途方も無い作業です。
ひらがなのパターンは、50音だけではありません。がぎぐげご、きゃきゅきょ...などを含むと106文字あるそうです。

この中から3文字の文字列を「あああ、ああい、ああう、、、んんん」と出すと実に1,157,520 通り。1秒毎睡眠ナシでジャッジしても丸11日以上かかる計算です。

さすがにそこまではやるのは現実的ではないので、まずは2文字パターン(「ああ、あい、あう、、、んん」)を出し(11,236通り)、そこから連想できる2〜3文字程度の名前を挙げていくことにしました。

なお、基本的にこの時点で「けんたろう」「さくらこ」のような4文字以上の名前は検討しないことになります。

2.2回戦:名前に使えそうなものをリストアップ(11,236通り→約1000案)

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(↑画像:名前で有り得そうなものを太字にした様子)

「ああ、あい、あう、、、んん」と2文字パターンを11,236通り並べたら、
この段階で「名前として明らかに成立していない文字」をガンガン消していきます(例えば、「あほ」「ばか」のようなネガティブな名前は当然付けないので、消す)。

一方「絶対この名前にはしないだろうなぁ...」と思っていたとしても、1%でも名前っぽいものはひとまず抽出します。

3.3回戦:候補を見ながら、ひたすら名前をつくる(約1000→約400案)

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使えそうなひらがな2文字の一覧が出来たら、次はその候補を見て連想できる名前をひたすら出す作業です。ここでは、100%付けない名前をここに書く必要はありません。「精査は後でするからいいや」と、多くを考えずにブレストします。

この作業を終えるために投下した時間は、仕事を挟みつつ1〜2ヶ月以上。
何度もリストの始めに戻ったり、紙に出力して書いたり....

ちなみに、我が家ではこの作業の途中で性別が確定したので、途中から女の子の名前の案出しをやめました。

4.4回戦:良いと思った響きをピックアップ(約400→35案)

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400個ほど出した候補の中から、徐々に絞り込みをかけていきます。
インスピレーションで良い名前を選択し、35個の名前が残りました。

5.準々決勝:選考方針を見ながらさらに絞る(35→8案)

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かなり絞り込まれたようには見えますが、ここにはまだクセが強すぎたり、凡庸すぎたりと選考方針にそぐわないノイズ案が含まれています。
正直、自分なりに斬新だ!発明だ!のような名前もありましたが、冷静にバッサリと斬っていきます。

その結果、
あおば、いぶき、かなた、かなめ、たびと、なお、なゆた、みらい(五十音順)という8つの候補が残りました。


6.準決勝:スコアリングして採点(8→3個程度)

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(↑基準を設けてスコアリングしたところ)
いよいよ大詰めとなりました。
残った8候補について、漢字や呼ばれそうなあだ名、漢字の意味合いも付加して独自でスコアリングを行います。
そして、このタイミングで妻も登場。スコアリングした名前案を確認してもらいます。

<スコアリング方法>
・選考方針で重要視することを、5点満点で採点
・いじめの対象になりえる場合は−1点(予見できないため低めの減点)
・性別不詳の場合は−3点
・漢字に2通りの読みがある場合、−5点(努めて避けるべき)
・知り合い同名人物がいる場合、−100点(強制的にボツ)

妻は初めて候補を見ているので、「知り合いにいる」など、僕なり選りすぐったものもここで除外となります。それでも、最初に選考方針を互いに同意しているからこそ、特にネガティブな思いに駆られることはありませんでした。

また、僕だけでは気付けなかった問題点も、妻の意見も取り入れて細かなチューニングをすることができました。

この時点では出産の3ヶ月程度前だったと記憶していますが、さらに時が経ち3候補(かなた、たびと、なゆた)が最終3案となりました。

7.決勝:「顔を見て決めよう」で決まったのは...(3→1案)

なんて人間らしい理由でしょう。
スコアリングまで行いましたが、最後は「生まれてから、顔を見て決めよう」となりました笑

よくよく考えてみれば、生まれた顔と名前のフィット感も重要な要素でした。

そして、7月。生まれてから数日後。赤ちゃんは次の名前になりました。

アセット 3(PNG)

・伝わりやすい名前→「旅」は多くの人に馴染みやすい言葉だと思う
・説明しやすい漢字→旅に北斗の斗、むずかしくはない
・いじめの対象にならないか→「旅人」の案もありましたが、「たびびと」や国語や音楽で出てきそうなので回避しました
・変換しやすいか→変換はしにくいですが、「いじめの対象とならない」を優先。

そのほかの基準も十分選考方針に沿っていたので、ほぼ目的を達成していると思いました。
そしてその後、外字(旧字体等)や誤りがないかを再度役所の人と最終チェックをおこない、無事出生届を提出しました。

あとがき:この名前を付けたあと

そろそろ一ヶ月になろうかという育児生活。
こんな長いネーミングストーリーを忘れさせるくらい、旅斗は新しい刺激を与え続けてくれています。

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<周囲の反応>
当然表立って名前を批判されるわけもないのですが、概ね好意的な反応です。独自性高めの名前ですが読み間違えがないので、いまのところ目論見どおりなのかもしれません。

<自分にとって>
やはり旅(たび)という既に存在する言葉はなにかと親しみやすさがあるように思えます。「たびくん」「たびすけ」「たっぴー」とそれに関連したなまえを1日何百回と呼びかけてあげています。

いずれにせよ、この名前がこの子にとって良いものであるかどうかを感じるのは、少し先の話。


まずは元気に育ってくれれば、それに勝る喜びはありません。

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学生時代から企業ロゴが大好きで、2016年ごろから法人向けにロゴ作成を行っています。noteでは企業の顔であるロゴに親しみを感じられる投稿をしていきます。