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06 本だけ読んで暮らしたい。

★<図書館で本に呼び止められた。>
 時間潰しに、棚からざっと興味のある本を数冊抜いて、空の見える窓際の席で、小一時間程の読書タイム。家に借りて帰ってもきっと読む時間はない、
だからオレンジからジュースを搾り取るように美味しいところだけざっくり頭に入れる要約読書。。。読書ともいえないな、ネットサーフィンに近い。
さて、あとは明後日の読み聞かせ用の児童絵本を少し借りて帰るとするか、そう思って一般図書コーナーから児童書コーナーに抜けようとある棚の前を歩き去ろうとした。
この図書館は、上から二段目を面出し用の展示に使うことが多くて、無駄といえば無駄、でもアピールしたい本、注目の本、新刊などの表紙を見せる。
いつもならスルーするそのコーナーで、何かが私の視覚を捉えた。
表紙の写真? みすず書房、という出版社名? それともタイトル?
その全てが「ボクはここにいるよ」とわたしの心に飛び込んで来たのだろう、わたしはその本を手に取ってしまった。

「なぜならそれは言葉にできるから」カロリン・エムケ/みすず書房/2019年発行

書評でみたわけでもない、誰かに勧められて手帳にメモをしていた本でもない、でもその本はわたしに「連れて行ってよう(借りてよ)」と確かにあるサインを送ってくれたように思う。思い過ごしかもしれないけど、思い過ごしも恋のうち、っていいますしねー。

この本はわたしに今なすべき事を的確に教えてくれるように思う、
わたしの中に、言葉にしたくてでも方法がなくても踞っているある「それ」がある、それとしか言い得ないある出来事、もしくは記憶。それをあなたがことばにしてくれるの? わたしにはそんな頼れる人はいないからするなら自分でするしかない、この本を読んだら少し前に進めそうな予感が。。。

アメリカで「黒人であることは恥ではない。だがすさまじく不利だ」とおなじように最近「ヨーロッパ在住のムスリムであることは恥ではない。だがすさまじく不利だ」、こう2019年以前に見切っている眼力に感嘆する。違いを認め、生きて行くことの難しさを痛感する最近の世界情勢やニュース。もっと自分の頭で考えられるようになりたい。

ある日、図書館で、この本に呼び止められました。

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